知覚品質_ブランド価値向上に必要な品質への信頼性を高める方法

知覚品質とは?構成要素から効果を高める方法まで徹底解剖!

企業が自社のブランドを高めるために行う考え方の一つに「ブランドエクイティ(ブランドの持つ資産価値)」というものがあります。

これは目に見える資産だけでなく、目に見えない価値も資産であるという考え方で、以前こちらの記事でもご紹介させて頂きました。

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そして、ブランドエクイティを構成する要素として、

  • 「ブランド認知」
  • 「知覚品質」
  • 「ロイヤリティ」
  • 「ブランド連想」

の4つが挙げられます。

今回は、その4つの構成要素の一つである「知覚品質」について説明していきます。

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知覚品質とは

知覚品質とは、顧客が自身の購入目的に照らして、他社商品と比べた際に「知覚」できる品質や優位性を意味します。

具体的には、企業側が一方的に把握している品質ではなく、顧客側が実際に認知している品質を言います。

圧倒的に優れた性能の商品をリリースしたとしても、消費者が存在を知らなかったり、「優れた性能の商品」と認識してもらえなければ、消費者に選ばれません。

消費者の頭の中で、優れた価値が想起される「知覚(された)価値」 があって、はじめて購入するかどうかの候補に上がります。

そして知覚品質と合わせて覚えておきたいのが「識別記号」です。

識別記号とは

識別記号とは、ブランドのロゴマークが代表的ですが、特定の特徴を基にユーザーが自社製品に気がつき、他社製品との違いを認識するための記号を指します。

例えば、「二郎系ラーメンの店の近くで漂う独特のにおい」や「今でしょ!でお馴染みの林修先生」など、嗅覚や嗅覚などの五感でブランドを認識することができる全てのものが含まれます。

このようにブランドは、ロゴや名称だけでなく、知覚的にそのブランドを把握できる「識別記号」をブランドの要素に組み込んでいます。

知覚品質の効果を高めるためには?

知覚品質の効果を最大化させるためには、「識別記号」と「知覚価値」を相互に連想させることがオススメです。

例えば、最近日本で流行っている「Yogibo(ヨギボー )」は、人の体に完全にフィットする大きなソファを見ることで、誰でも存在と価値を直感的に理解できます。

そして、このような「識別記号」をみたら、無意識に「フカフカ」「癒されそう」「快適そう」といった【知覚価値】を思い浮かべる人も多いはずです。

このように、識別記号と知覚価値を連想させることで、知覚品質の効果を高めることができます。

つまり知覚品質は、「購入することにより、どのようなベネフィットが得られるのか」といった、消費者が抱く「価値認識」の集合体であるといえます。

知覚品質を高める詳しい方法については、後ほどご説明いたします。

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知覚品質の構成要素

冒頭では、ブランドが頭の中に形成される識別記号と知覚価値の組み合わせが重要と説明しましたが、どうすれば頭の中に残るのでしょうか?

消費者の頭の中にブランドの印象を作り上げるには、以下の知覚品質の構成要素に気をつけることが重要です。

  • 商品・サービスの印象
  • 広告・販促のDMやチラシの印象
  • 店員やスタッフの外観・人柄・接客の印象
  • 価格の印象
  • 口コミの印象
  • メディアでの報道の印象

例えば、アップルストアの看板、商品本体、包装パッケージなどあらゆるものに同じリンゴのロゴマークが入っていますよね。

加えて、iPhoneやiPadの機能性や使い勝手、店員の丁寧な接客やコミュニケーションなど、これらの体験の蓄積によって頭の中にアップルの「知覚価値」が形成されます。  

このように、あらゆる体験の蓄積によって頭の中にブランドが形成されるのは、どの業種でも変わりません。

それでは、知覚品質の構成要素についてそれぞれ詳しく説明させて頂きます。

商品・サービスの印象

商品やサービスの印象は、商品を手に取る上でもっとも重要になります。

商品・サービスの印象が悪ければ、どれだけ品質が良かったとしても、消費者の目にとまることはありません。

反対に、品質が悪かったとしても、商品・サービスの印象が良ければ、目に止まりやすくなり、販売促進に繋がっていきます。

広告・販促のDMやチラシの印象

広告や販促のDM・チラシの印象も重要になります。

DM、チラシを手に取った際に、画像が無く色も白黒とあっては、興味関心を惹くことはできません。

適度な配色と適度に商品・サービスにあった画像を、DMやチラシに取り入れるだけで、消費者の目に止まりやすくなります。

自社でチラシやDMをうまく作れないという方は、専門業者に委託してみるのも良いかも知れません。

その際には、自社が持つイメージと委託先が持ったイメージに、すれ違いが起こらないようにすることが重要です。

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店員やスタッフの外観・人柄・接客の印象

店員やスタッフの外観や人柄、接客の印象も大切です。

例えば、家のそばに新しいカフェが出来たとします。

開店前に店員やスタッフと会ったときに、威圧的な態度を取られたら、そのカフェに行きたいと思いますか?

反対に、すれ違った時には好意的な印象だったのに、接客の態度が悪いとあれば、もう行きたくないし買いたくないと思ってしまい、客離れが進んでしまうリスクが高まります。

そのため、店の内観だけでなく、従業員の人柄、態度、外観というのは、重要になっていくのです。

価格の印象

次に価格の印象も良くみられます。

高額すぎても、消費者の興味関心は惹きづらいですが、反対に低額過ぎても「何か悪いところがあるのではないか」という印象を持ってしまい、なかなか手にとって貰うことができません。

元々高額な商品を「期間限定」で安く売っているところをみると、「自分も買いたい!」と思ったことはありませんか?

この「期間限定価格」というものが、価格の印象です。

元々は高い値段だけど、今であれば半額になる、今を逃すとこの値段はないという心理を働かせることで、興味・関心を惹くことができる可能性が高まります。

口コミの印象

口コミの印象が悪いと、商品やサービスを使いたいと思う人はいないと思います。

反対に、口コミが良い印象だと、手に取りたいと思うことが多くあるのではないでしょうか。

口コミの印象というのは、商品やサービスの品質に大きく関わる重要なものです。

そのため、口コミサイトの内容をより良くしていく必要があります。

内容をより良くするにあたって、プラスのイメージしか持たせないような内容の口コミばかりでは、信憑性に乏しいと感じられてしまう可能性があります。

仮にマイナスのイメージが持たれてしまう可能性がある口コミであっても、しっかり掲載することが、消費者側の信頼を得ることに繋がる場合もあります。

よって、あまりにも商品やサービスを悪くいっている口コミでなければ、しっかりと掲載し、改善するためにどうしたのかを明記していくことが重要です。

メディアでの報道の印象

メディアでの報道の印象は、消費者に与える印象に大きく影響します。

いくら優れたサービスであっても、それを利用する人の印象が悪かったり、提供する側の印象が悪かったとすると、それを目にする消費者は利用したくないと感じてしまうケースが多くあります。

加えて、提供する人や利用している人の印象が良くても、それをメディア側が様々な捉え方が可能なように放送したとしても、見ている側は利用したいとは思いません。

当たり前の事のように思えますが、これらすべての顧客接点の印象の蓄積が、そのブランドに関する識別記号や知覚価値を頭の中に形作っていきます。

しかしながら、全てを一気に高めることは難しいため、「企業がコントロールできるもの」と「企業がコントロールできないもの」の両軸で優先順位やプロセス、どのような指標で高めていくかをまずは考える必要があります。

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【事例あり】知覚品質を高める方法

知覚品質を高める方法として、5つ挙げられます。

具体的には、

  • 品質を見える化する
  • 成功事例や実績を示す
  • カスタマーレビューを活用する
  • 希少性を訴求する
  • 「体験」を提供する

といったものが挙げられます。

ここからは、事例を含めてそれぞれ解説していきます。

【1】「品質」を見える化する

品質や機能性、原材料などの「見える化」を行うことでブランドの知覚品質を効果的に高めることができます。

具体的には以下の通りです。

  • 研究開発、技術力を可視化
  • 成分や原材料の品質の見える化
  • 機能性を実証する

まず、知覚品質を高める上で、「顧客に対して品質を証明するという」という方法が最も代表的です。

例えば、P&GのテレビCMでは「チャレンジJOY」と銘打って、タレントさんが様々な家庭に出向いて、台所用洗剤の品質の高さを実証しています。

このように、テレビCMや広告を用いて品質を実証することで知覚品質を効果的に高めることが可能になります。

それだけでなく、人の目に触れない研究開発のストーリーや商品が出来上がるまでのプロセスを発信することで、顧客の心を掴むことも可能です。

【2】成功事例や実績を示す

サービスの実績を打ち出すのも効果的です。

「3年連続シェアNo.1」「国内スマホアプリダウンロード数No.1」などを大々的に打ち出すことで消費者が購入に至る際の後押しになることがあります。

「実績がある=価値が高い」という顧客の行動心理に基づき自社の実績を打ち出すことで、知覚品質を効果的に高めることができます。

加えて、自社の実績や成功事例を提示することで、他社の商品と比較することができ、自社の製品の優れている点を、消費者に向けてアピールすることができます

そういったアピールはブランドメッセージと言います。

ブランドメッセージを使うことで、効果的に企業の強みや魅力をアピールすることができます。

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【3】カスタマーレビューを活用する

インターネット通販が主流となってきている昨今、顧客が商品やサービスを購入する際、最も参考にしているのが実際に購入し使用している人のクチコミやレビューです。

つまり、サービス提供者は、この「お客様の声」を積極的に活用し信憑性を持たせることで知覚品質を高めることができます。

◉カスタマーレビューを訴求する際の注意点

カスタマーレビューを顧客に訴求する際、ネガティブなカスタマーレビューによる知覚品質は、あっという間に浸透し、ブランドの評価を押し下げてしまうケースがあります。

不具合の程度が競合他社と比べて低かったとしても、消費者にとって1つ買ってそれが故障すれば、それは100%の故障率となります。

インターネットで、情報収集や商品の購入が主流となった昨今、SNSの拡散やクチコミサイトのレビューなどで、カスタマーエクスペリエンス(CX)の結果を、ほぼリアルタイムで確認することができます。

そして、サービスの品質に対してあまりよくないレビューがある場合、スピード重視で即座に方針を変える必要があります。

この改善する「スピード感」こそが、カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させる上で大切で、より顧客に寄り添ったサービス提供・改善を行うことで顧客満足度の向上や顧客離れを防ぐことに繋がります。

ぜひとも、カスタマーエクスペリエンスに関する記事も参考にしていただければと思います。

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【4】希少性を訴求する

サービスや商品の「希少性」を訴求することでも、知覚品質を効果的に高めることができます。

例えば、「匠の職人やデザイナーが、一つ一つ手作業で、作り上げている」と聞くと、いくら値段が高くても「これを逃したら、次にいつ手に入るか分からない」という心理が働きます。

その結果「今でなければ、手に入らない価値」というブランド認識を作り上げることができ、ブランドの知覚品質向上に繋げることが可能になります。

「メルマガ限定」「フォロワー限定」というのも、知覚品質を向上させることができます。

【5】「体験」を提供する

顧客に「体験」を提供することでイメージだけだった知覚価値は完全に補完され、印象を決定づけることができます。

「使用感」や「快適さ」「便利さ」など、「体験」を提供することで、良くも悪くも「知覚価値」は顧客の中で形成されます。

「使ってみたら意外と良かった」ということはよくありますし、体験してもらわないと価値が伝わりにくいものも多くあります。

具体的には、デパートのコスメ売場で、メイクをしてくれるサービスや家電量販店で、実際に掃除機をかけることができるサービスがあります。

無料で、実際に使用することができるだけで、安心材料となり、品質の高さを知ってもらうことが可能になります。

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知覚品質を向上させる上での注意点

自社の製品がどれだけ優れていたとしても、ブランドの知覚品質を向上させることは簡単ではありません。

知覚品質を向上させる上で、

  • 消費者側の意識
  • 信憑性に乏しい

という2つの注意点があります。

消費者側の意識

消費者側は、ある程度有名なブランドであれば「品質に問題ないだろう」という認識を持っている場合が多くあります。

そのため、いくら企業側が「自社製品は、品質に優れています」と宣伝しても、消費者側にとっては、当たり前であるため、知覚品質向上には繋がりづらくなります。

そのため、SNSのレビューによって、口コミを集め、それをより多くの人に見てもらう必要性があります。

口コミやレビューを見てもらうことで、「品質が高いことは知っている」と思っている消費者に対して、より身近な人たちの声を届けることができ、関心を持たせることが可能になるためです。

例えば、「アットコスメ(@cosme)」をご存知ですか?

「アットコスメ(@cosme)」は、アイスタイル社が運営している、誰でもコスメ・化粧品・美容の口コミを投稿・閲覧できるサイトです。

月間訪問者数は1430万人、商品のデータベースは36万点と、日本最大の化粧品の口コミサイトとして有名です。

よく、店頭で販売されているコスメや化粧品に「@cosmeクチコミランキング第1位」といったシールが貼られているのを見たことはありますか?

購入を考えている商品にこのようなシールが貼られていれば、顧客は「クチコミが一番良かった商品」と認識し、その商品を信頼することができるでしょう。

つまり、「@cosme No.1」というような、誰もが目にすることができ、なおかつ信憑性が高いものだと、より一層知覚品質の向上を見込むことができるのです。

信憑性に乏しい

商品やサービスを提供する上で、信憑性が高いかどうかということは、もっとも注目されます。

「自社商品は品質が低い!」と言って、サービスや商品を提供しようとする企業はいません。

そのため、いくら自社製品の品質が高いとアピールをしても、その効果は一時的なものと言えます。

消費者目線からいうと、いくら企業側が自社の品質のアピールをしても「品質が高いという根拠にはならない」と感じるため、品質が高いという主張はスルーされてしまうことが多くあります。

例えば、化粧品やコスメのCMや広告などで、旬の俳優やモデルが化粧品を使い、その品質の高さについてアピールしたとします。

確かに、人気の俳優やモデルがイメージキャラクターを務めるだけで集客に繋げることはできますが、知覚品質向上に繋がるとは言い切ることはできません。

消費者側からすると「品質が高くなくても、この人たちは綺麗でしょ?」「プロが品質について説明しても、難しい用語ばかりで分からない」という思考が働いてしまうため、「本当にこの企業のサービス・商品の品質は高い」という根拠にならず、知覚品質向上に繋げることができないのです。

そのため、品質が高いということを消費者自身に感じてもらい、認めてもらうことが、知覚品質を向上させる上で重要となっていきます。

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まとめ

今回は「知覚品質」をテーマにその概要や知覚品質を高める方法をご紹介させて頂きました。

現代の成熟した市場では、たとえ企業側が「他社とは大きな品質差がある」 と思っていても、消費者からすれば「違いがわからない」と思われてしまうこともあります。要するに「良い品質を実現するだけでは売れない」ということです。

「知覚品質を高める方法」の章で述べたとおり、よい品質やスペックを実現したら、それを消費者に「知覚価値」として認識されるための努力が必要になってきます。

たまにある、品質が低いものを高いものに見せるハリボテのブランディングは、一時的に成功しても、口コミが発達したインターネット社会では瞬時にメッキが剥げて短命に終わります。

つまり、商品やサービスの品質とスペックを高める施策と「知覚品質」を高める施策の相乗効果でブランド価値を高めていく必要があると言えます。

これからブランド価値を高めていきたいと思っている経営層の方はぜひとも本記事を参考に、消費者に選ばれるブランドづくりを意識してみてはいかがでしょうか。

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