ボトルネックという言葉を知っていますか?
聞いたことはあるけど、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はボトルネックの意味と改善方法を併せて解説していきます。
ボトルネックとは
ボトルネックとは、一連の業務のなかで、業務の停滞や生産性の低下を引き起こす要因のことを指します。
瓶の首(bottleneck)が細くなっていると、瓶に入れた液体を排出するスピードが落ちることから由来しています。
ボトルネックの例
ボトルネックという言葉の具体的な例をご紹介します。
製造・生産分野におけるボトルネック
製造・生産分野において、ボトルネックは「Aという工程がこの製品の生産性を低下させているボトルネックだ」というように使います。
製造・生産分野では、生産スピードを遅延させている原因や生産量を減少させている原因のことをボトルネックといいます。
IT分野におけるボトルネック
IT分野においては「Bという機能がシステムのパフォーマンスを低下させるボトルネックとなっている」というように使用されます。
IT分野では、システムの処理能力や通信速度の低下を招く原因のことをボトルネックといいます。
経営分野におけるボトルネック
「この戦略を推進するためには資金調達がボトルネックだ」と、経営分野において使用されます。
経営分野では、戦略の遂行を滞らせる原因のことをボトルネックといいます。
ボトルネックの原因
ボトルネックの原因は、以下のようなものが挙げられます。
- 人員不足
- 業務のブラックボックス化
- アナログ業務
人員不足
人員不足によって、生産スピードの遅延や生産量の低下を招き、ボトルネックとなることがあります。
しかしながら、ただ単に人員を増加させるだけで、ボトルネックの解消に繋がるわけではありません。
ボトルネックの解消には、作業の効率化が必要となります。
業務のブラックボックス化
ブラックボックス化とは、ある業務の進行が特定の人にしかできないことを指します。
担当者の代替が効かないと、その人に何かがあったときに業務が停滞するボトルネックとなってしまうケースが高まります。
アナログ業務
ハンコや紙の書類による取引などのアナログ業務がボトルネックとなることがあります。
アナログ業務は、主にリモートワークの際に業務を滞らせるほか、入力ミスや誤字脱字などのヒューマンエラーを起こす原因となります。
加えて、承認者や決裁者に出張や外出が多い場合にも、決裁に時間がかかり業務を滞らせてしまうことがあります。
ボトルネックが引き起こす問題
ボトルネックが引き起こす問題を解説していきます。
生産性の低下
ある商品を生産するために複数の工場を利用しているとします。
Aという工場は、生産スピードが速く、一日に1000個のパーツを製造できるのですが、Bという工場は生産スピードが遅く、一日に200個のパーツしか製造できません。
すると、Bという工場の200個というラインを基準にしなければならなくなります。
この場合、Bという工場がボトルネックであり、生産性を低下させている原因となります。
コストパフォーマンスの低下
上記の複数の工場を利用した生産をしている場合、Bという工場のために他の工場にも影響が与えられ、時間や費用が余計にかかってしまう可能性が高まります。
ボトルネックとTOC
ボトルネックの解決を目指す手法として、「TOC(Theory of Constraints)」というものがあります。
TOCは、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラットによって提唱され、ビジネス書「ザ・ゴール」で取り上げられました。
日本語では「制約条件の理論」と訳されます。
TOCのステップ
TOCのステップは以下の5段階になります。
- ボトルネックの発見
- ボトルネックの活用
- 他の作業工程をボトルネックに合わせる
- ボトルネックの改善
- 新たなボトルネックへの対応
ボトルネックの発見
まずは、何がボトルネックになっているのか見つけます。
ボトルネック以外の工程のパフォーマンスが向上したとしても、ボトルネックを改善しなければ全体の作業効率は上がりません。
作業環境を整えつつ、一連の作業の流れを整理してボトルネックを発見していきましょう。
ボトルネックの活用
次に、ボトルネックを活用する方法を考えます。
ここで気をつけたいのは、ボトルネックの活用とは人員や資金を投入したり、設備を新しく整えることではないということです。
今ある環境のなかでパフォーマンスを最大化する方法を考えます。
不要な作業が発生していないか、何かのシステム障害が起きていないかなどをチェックして、今の人員や資金・設備のなかでボトルネックを活用していきます。
他の作業工程をボトルネックに合わせる
次に、ボトルネックとなっている工程の作業量に合わせて他の工程の作業量を制限したり、人員を削減・配置換えを行ったりします。
そうすることで全工程のバランスを取ります。
ボトルネックの改善
ここで初めてボトルネックに資金や人員・設備を投下してボトルネックの改善を図ります。
他の作業工程で削減した人員をボトルネックに充てるのも手でしょう。
ボトルネックを強化して全工程の作業効率を上げていきます。
新たなボトルネックへの対応
ボトルネックをひとつ改善しただけでは終わりません。
ここまで、ボトルネックをひとつ改善したことによって、新たなボトルネックが見えてくることもあります。
再度最初のステップに立ち戻り、作業の全工程をブラッシュアップしていきます。
まとめ
ボトルネックとは、一連の業務のなかで、業務の停滞や生産性の低下を引き起こす要因のことを指します。
瓶の首が細くなり、瓶に入れた液体を排出するスピードが落ちることから由来しています。
ボトルネックの例として、以下のようなものが挙げられます。
- 生産スピードを遅延させている原因や生産量を減少させている原因
- システムの処理能力や通信速度の低下を招く原因
- 戦略の遂行を滞らせる原因
加えて、ボトルネックの原因としては人手不足や業務のブラックボックス化、アナログ業務が挙げられます。
ボトルネックは生産性の低下やコストパフォーマンスの低下を引き起こします。
ボトルネックを解決する手法として、TOCというものがあります。
自社のボトルネックは何なのか分析し、ひとつひとつ丁寧に解決していきましょう。