「テキストマイニング」とは?活用法を併せて解説!

かつてアメリカでは、「ゴールドラッシュ」と呼ばれる現象がありました。

新しく金が掘れる鉱山が発見され、金脈を求めて多数の採掘者が殺到したのです。

現代においては、金脈を求めて鉱山へ赴く労働者は、日本にはほぼいないでしょうが、現代では金ではなく「情報」「データ」がかつての金のように、価値のあるものとして扱われることがあります。

この記事では、貴重なデータが眠る「テキスト」を収集し、マーケティングに活用するという「テキストマイニング」という概念について解説します。

テキストマイニングとは何か

テキストマイニングとは、「テキスト」つまり文章を掘り当てる、という意味を持つ言葉です。

具体的には、ツイッターやフェイスブックといった「SNS」あるいはコールセンター、サポートセンターに寄せられている問い合わせ、アンケートの回答などの「文章」から、自社のサービス開発・改善にとって有益な「言葉」を抽出するための技術です。

従来から、SNSでのお客様の「生の声」を聞いたり、お客様にアンケートに回答してもらい、自社の商品・サービス改善のための参考にするという手法は用いられてきましたが、ここには2つの問題点がありました。

まず1つは、「ひとつひとつの文章を担当者がチェックしなければならないため、大きな作業ボリュームと時間を要すること」です。

そしてもう1つは、「アンケートなどではサンプル数が少なすぎる」ことです。

直接回答してもらうにはサンプル数が少なすぎ、SNSなどから自動的に抽出した文字ではサンプル数が多すぎるというジレンマが、これまでのマーケティングには存在していたのです。

これに対するひとつの答えとして、「テキストマイニング」という技術が生み出されました。

具体的なテキストマイニングの活用

さて、SNSでの文字情報を含めて、お客様との対話を行うサービスセンター、サポートセンターなどでの音声を文字起こしした文字情報、お客様から回答してもらったアンケートの回答に含まれる文字情報と、データのソースは充分すぎるほど企業に蓄積されています。

しかしながら、それらの蓄積したデータを担当者がひとつひとつ分析することは、困難であると解説しました。

特に、大量の一般消費者に毎日商品を購入してもらうような業種の場合であれば、その困難さはさらに高いものとなるでしょう。

こうした場合には、テキストマイニングツールを利用することで、大幅な作業の短縮・簡略化が期待できます。

テキストマイニングツールがどのような動きをするかというと、まず、様々なチャネルから寄せられるお客様の声を、ツールがリアルタイムに分析し、どのような「単語」が話題によく上っているのかが、明確になります。

そのうえで、商品に対する感想や効果の声に対して、ポジティブな意見、ネガティブな意見がどのような単語と関連して発言されているかが、可視化されます。

具体例としては、「臭いが」という単語に対して、「強すぎる」という単語がセットでよく発言されているとすれば、お客様は商品の臭いにネガティブな印象を抱いている可能性が高いと分析できます。

さらに、「臭い 強すぎる」という単語の先を辿ると「フローラル」という単語に行き着いたとします。

そうすると、「フローラル系の香りが強すぎる」という点について、消費者は不満を感じている可能性が高いということになるでしょう。

一方、「価格が」「値段が」という単語に対して「安いので」「安かったので」などの単語が続いている傾向にあるとすれば、お客様は商品価格については満足している可能性が高いと分析できます。

このように、お客様の発言からポジティブ・ネガティブを分析できるだけではなく、さらに、どのような単語が関連して発言されているのかなどの分析にも使用することができるのがテキストマイニングツールなのです。

テキストマイニングを活用したサービスの展開

テキストマイニングツールによって得られたお客様の声は、自社での今後の商品開発やサービス改善に活かすことができます。

さらに、お客様から寄せられた生の声を掲示することで、より顧客のロイヤリティを増加させ、優良顧客へつなげていくような取り組みに活用するというのも、テキストマイニングの活用法のひとつです。

加えて、テキストマイニングを活用することで、お客様からの生の声を「満足度」「不満度」というようにランキング形式などで表示して、自社の製品を第三者的な目線で分析することもできます。

こうしたデータを活用して、お客様の傾向に合わせた商品のおすすめを表示させるECサイトや、「他の人はこちらも検索」「他の人はこちらも購入」などのさらなる購買行動に活かしていくという活用方法もあるでしょう。

古くからあるテキストマイニングの活用法として、「ワードクラウド」が挙げられます。

頻出単語を抽出して並べることで、上位の意見や不満を俯瞰的に見ることができる技術です。

ブログサイトなどでは古くから活用されている方法ではありますが、企業のウェブサイト、ECサイトなどにおいては、サポートページや問い合わせページでの活用などが考えられます。

テキストマイニングの課題点

上記のように、テキストマイニングツールは、リアルタイムにお客様の生の声を分析することができ、セットとして発言されている単語なども合わせて捉えることができるなど、非常に先進的で便利なツールです。

しかしながら、お客様との対話とは、いわゆる「自然言語」による対話です。

自然言語は、ツールで完全に分析を行うには難解であり、必ずしも分析結果が正しいお客様の声として反映されているとは断言できません。

このような課題点に対応するためには、やはり直接お客様と対話をしている部署との連携が重要です。

テキストマイニングツールによって得られたお客様の生の声と、日々お客様と直接対話をしているコンタクトセンターのオペレーターなどが感じている所感を突合して検討し、以降のマーケティングや広報活動に活かしていくという姿勢が重要でしょう。

テキストマイニングツールが「万能」と思いこんでしまうと、貴重なお客様の声を聞いているオペレーターからのフィードバックが得られなくなってしまい、お客様との認識に乖離が生じる可能性があります。

一方で、「お客様の声であれば、コンタクトセンターに分析させればよい」と、テキストマイニングを絶対的に拒絶してしまう態度もまた、貴重なお客様の声を取りこぼしてしまう可能性が高くなります。

実際に寄せられるお客様の声の総数や、フィードバック・分析に当てられる人員規模などにもよりますが、やはりテキストマイニングツールとコンタクトセンターは両立し、相互にフィードバックを行いながら分析を行っていくことが現時点では最適解といえます。

まとめ

商品やサービスを顧客・消費者に展開する企業にとって、「お客様の声」とどのように向き合うかというのは永遠のテーマであるともいえます。

このようなテーマにおいては、「お客様からの声が少なすぎて、商品開発やサービス改善に活かしきれていない」「お客様からの声が多すぎて、しっかりと分析ができていない」という両極端な問題が同時に発生する可能性があるのが難しいところです。

テキストマイニングは、こうしたお客様からのフィードバックを漏らさず、さらに活用しやすい形式に整理し俯瞰することができるツールとして、現代の企業にとっては大きな意味のあるツールとなっているのです。

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