PMIとは?M&Aとの関わりと成功へのポイントを併せて解説!

2つ以上の会社が合併をしてひとつの会社になったり、ある会社が他の会社を買ったりすることがあります。

これが、いわゆる「M&A(合併・買収)」です。

M&Aはより広い意味では合併・買収以外に、提携といった要素もありますが、一般的にM&Aと言った際にイメージするのはこの合併や買収でしょう。

このM&Aについて、合併後の事業を円滑化したり、リスクを最小化するための重要なプロセスに、「ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)」があります。

この記事では、M&Aの成否に深く関わる「ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)」について解説します。

M&AとPMI

PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)とは、企業が、合併・買収をした際に、大小あれどほぼ確実に発生するこれらの問題を解決し、かつ最適化していくプロセスのことをいいます。

M&Aとは、企業が、営業活動をしていく中で、事業の承継問題や事業の継続性・従業員雇用の安定性、経済基盤の強化、事業の多角化などのために、企業の合併・買収が行われることをいいます。

M&Aは、先に挙げたような、M&Aを行う理由がそのままメリットとなるのですが、これまでそれぞれ独自に経営をしてきた2つの企業が、ある日ひとつになるということは、いずれの企業においても大きな出来事となります。

例えば、合併後の企業での意思決定プロセスをどうするか、決済ルールやKPIといった「ガバナンス」や内部統制をどうするか、合併後の従業員雇用、キーパーソンの扱いをどのようにするかなど、重要な課題を処理しなければなりません。

加えて、これらはどちらかというと社内での内部の問題処理ですが、販路・設備投資を今後どうしていくか、両者が持っているプラットフォーム・顧客関係をどう統合して売上を拡大していくかという営業活動に直結するような問題も出てきます。

PMIにおける営業活動での取り組み

まず、M&Aを行った後の両社がスムーズに営業活動を続け、キャッシュフローを最適化・最大化するために必要な検討項目を挙げてみます。

これは「両社のプラットフォーム・顧客関係の活用」「業務ルール・システムの統合」「運転資本の最適化」「設備投資の精査」などが挙げられるでしょう。

特に、比較的大規模な支出となっている業務システムの統合などは、従業員への教育もあるため早期に実現するべきポイントですし、顧客関係においては、これまでの取引関係・信頼関係を損なうことがないような、関係継続のための取り組みを行う必要があります。

設備投資や運転資本については、これまで両社が同じような業務を行ってきた場合、統合できる設備や見直しによって削減できる投資が存在するケースが多く、それらを精査し最適化することで、統合・買収後の両社の資本がより明確になるという効果を生みます。

この項目で解説した内容は「M&Aによるメリットを最大化する」ための施策であると定義できるでしょう。

PMIによる内部統制の整理

次に、M&Aによって統合した社内をどのように制御・統制していくかという問題があります。

これには「キーパーソンの確保」「社内ルール・ガバナンスの整理」「内部統制プロセスの見直し」「事業計画の見直し・最適化」などが挙げられます。

これまで、異なるルールで事業を行ってきた両社が、新しく同一の体制で企業活動を行っていくうえで、ルールとプロセスは真っ先に統合される必要があります。

そうでなければ、同じ社内で別のルールやプロセスがまかり通ることになり、合併後の社内で混乱をきたすことになるでしょう。

中でも、企業の意思決定におけるプロセス、つまり決裁ルールやプロセス、従業員への統合後KPIの策定と周知などが優先度の高い項目であるといえます。

また、キーパーソンの確保には様々な意味がありますが、統合前の企業において顧客との信頼関係を築いてきた社員や管理者、業務の統括者などがこれにあたります。

これらの人物が、M&A後に流出してしまうことは、大きな損失となります。

そのため、M&A後のPMIによって、あらたなインセンティブを策定したりといった、人材流出防止策を講じることになります。

このような人材流出防止策のことを「リテンション」と呼びます。

最後に、事業計画の見直しや最適化については、企業活動の中での今後の事業の方向性を今一度検討するという意味があります。

しかしながら、それ以上に、統合後という新しい体制の中で、すべての社員が同じ計画と目的に沿って統一された目標のために、日々の業務を行うという体制を築くうえで、これは現場に近い社員にとっても非常に重要なプロセスです。

M&Aという大規模な体制変更によって、もっとも衝撃や動揺を受けるのは、現場に近い一般従業員です。

統合後の新しい体制で、それらの一般従業員が新たな会社の方針や方向性、事業計画を理解しないままに業務を行うことは、企業活動において決してプラスの効果を生まないでしょう。

そのため、事業計画を再検討・精査し、それらをすべての従業員に理解させるための周知徹底が求められるのです。

この項目で解説した内容は、先に挙げた営業活動における最適化というよりは、内部統制、つまりコントロールにおけるPMI施策です。

適切なPMIがM&A成功のポイント

PMIには、3つの成功へのポイントがあります。

統合後の社内をいかに適切なコントロール下に置くかという内部統制、経営資源を統合して利益を最大化していくかという経営統合、これまで別の会社だった企業との融合を果たし、企業風土や文化が統一化された社内意識を生み出すかという意識統合の3つです。

これらのポイントをいち早くクリアすることが、PMIの要点であり、M&A成功に直結するポイントであるともいえます。

M&Aという大規模な取り組みの中でも、両社の企業活動は進行しているため、PMIだけに注力することは、難しいでしょう。

そのため、まずPMIにおいては優先順位の策定が必要です。

M&A後の体制構築の中でどの項目を最優先で行うのか、そして、それらの優先的に処理しなければならない課題を「いつまでに」実行するのかというタイムスケジュールを策定し、それに沿って課題をひとつひとつクリアしていくことが重要です。

繰り返しとはなりますが、このPMIの成功によって、M&A後のスムーズな営業活動が左右されます。

これらの優先順位の策定やタイムスケジュールの策定は、M&A交渉の過程である程度形になっていることが最も望ましいといえるでしょう。

まとめ

M&Aは、会社の合併や買収という、ある意味企業活動では普遍的な出来事です。

しかしながら、M&A当事者となる社内では、統合後の体制をいかに安定した盤石な体制とするか、M&A後の人材流出をいかに防ぐかなど、課題は山積みとなります。

加えて、これまで関わってきた取引先企業、顧客との関係においても、M&Aは決して少なくないインパクトを与えます。

M&Aには、大きなメリットがある反面、こうした課題をスムーズにクリアすることができなければ、かえって自社を傷つける諸刃の剣となってしまうケースもあります。

M&A交渉においては、M&A後の会社をいかに早く、適切に安定させるかというPMIの策定も合わせて行っておくことが、M&Aをスムーズに実現するポイントであると評価できるでしょう。

合併・買収する両社のM&A担当者・決裁権者の双方が、PMIの重要性を認識することから、M&Aはスタートすると言い換えてもよいのです。

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