最近、IT技術やAI技術の発展により、R&Dの重要性は増しています。
その一方で、「R&Dってなんのこと?」「名前は聞いたことあるけど、実際に何をやっているのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
本記事では、R&Dとは何か、そしてどのようなメリットがあるのか、具体的にどんな企業がR&Dを設けているのかを解説します。
R&Dとは?
R&Dとは、Reserch and Developmentの略で、日本語では「研究開発」と訳されることもあります。
その名の通り、会社の中でも研究や開発に関わる部署、またそこで行われる業務自体をさす言葉です。
IT技術が急速に発展している現在、多くの会社でR&Dが設けられています。
そして、R&Dで得られた知見をもとに新たな製品を販売したり、今までになかったサービスを提供したりしています。
R&Dの歴史は?
研究や開発自体は、人類の歴史で継続的に行われてきました。
しかしながら、企業単位で研究開発が行われるようになったのは、第1次世界大戦以降と言われています。
当時は、軍事技術のR&Dが中心で、いかにして他国の軍事技術を圧倒する兵器を開発できるかが、最重要課題でした。
戦後には、軍事企業以外の民間企業でも、R&Dが行われるようになりました。
日本でR&Dが導入されるようになったのは、高度経済成長期です。
高度経済成長期に入った日本は、経済力をどんどん拡大させ、最終的にGDP世界第2位の大国にまで成長し、その急成長には各企業のR&Dの研究結果が大きな影響を与えていたでしょう。
R&Dの種類
R&Dは基礎研究、応用研究、開発研究の3段階で順に進められます。
以下ではそれぞれの段階を具体的に解説していきます。
基礎研究
基礎研究は、研究成果によって得られる利益を考えず、純粋に科学技術の発展を目的とした研究です。
研究が、どれだけ続くか予想が難しく、すぐに効果も得られないため、あまり財源が与えられない面があります。
しかしながら、基礎研究が疎かになるとその後の、応用研究、開発研究に続かないので重要度が高いです。
応用研究
応用研究では、自社の基礎研究で得られた知見を、実際に製品やサービスに適用することを目的に行われます。
加えて、他社や大学など、他の研究機関の基礎研究の成果を自社の製品やサービスに応用することもあります。
開発研究
開発研究では、「基礎研究」「応用研究」をもとに実際に販売する製品であったり、サービスを作成します。
この段階では、どのように利益をあげるか、またどのように宣伝していくかなど開発以外の要素も深く関わってきます。
R&Dのメリット・デメリットは?
R&Dには、メリットとデメリットの両方があります。
両者を意識しながら、適切にR&Dを進めましょう。
R&Dのメリット
①他企業との差別化
R&Dによって得られた知見はその企業のものです。
R&Dで得られた結果をもとに、製品やサービスを提供することで、その企業しかない魅力を引き出すことが可能になります。
例えば、特許を取れるような大きな研究成果が得られれば、市場のシェアを大きく占めることもできるでしょう。
②技術資産の蓄積
R&Dを継続して行うことで、技術資産を積み上げることができます。
技術資産とは、企業の利益につながるような技術や技能のことです。
技術資産は、知的財産や特許として適切に管理しなければいけませんが、それらから新たなビジネスアイデアが生まれることもあります。
加えて、多くの技術資産を持っていることは、社会から継続的に挑戦をしている会社だと高く評価されます。
③製品開発の高速化
自社でR&Dをすることで、製品を新開発したり、改善したりするペースを早められます。
他社のR&Dの研究結果を待たずに、研究が進められるからです。
それだけでなく、自社の技術を使うと技術の利用料が要らないので、その分低コストで製品を販売できます。
R&Dのデメリット
①コストに見合うだけの成果が得られるわけではない
R&Dをすると必ず成果が得られるとは限りません。
どれだけ時間や労力をかけても、全く結果につながらないことは、研究ではよくあります。
特に、基礎研究はよりその傾向が強く、財源や人材が十分にいきわたらないことが多い傾向にあります。
ROI(投資対効果)を適切に管理し、いつまで続けるのか、どうなれば研究から撤退するのかを、あらかじめ決めておくことが大切です。
③研究結果の流出リスク
R&Dの研究結果は自社のものですが、R&Dを社外と共同で行ったり、研究者が他企業へ転職したりして、自社以外に流出する危険性があります。
このリスクを減らすために、重要な結果は特許申請をしておくなど法的にきちんと管理をしておかなければなりません。
R&Dの課題は?
前項でR&Dを設けるメリットをあげました。
R&Dは、企業の利益をあげる重要な部署である一方、社会全体の課題があります。
以下では、その課題を具体的にみていきます。
人材不足
R&Dで、大きな成果を得るには、高度な専門知識を持つ人材が欠かせません。
しかしながら、現在の人口減少社会では、R&D人材は不足しています。
十分なR&D人材を確保するためには、魅力的な研究対象を提供したり、待遇を改善していく必要があります。
自前主義
特に、日本でみられる現象に「自前主義」があります。
全ての研究を自社だけで行い、他社との共同研究が盛んではありません。
確かに、他社との共同研究は、他社に自社のノウハウを奪われてしまう危険性がありますが、一方で、自社にはないノウハウを使ったり、自分たちだけでは思いつかなかったアイデアが生まれるといったメリットがあります。
R&Dを全て自社で行うのではなく、他社との共同研究をいかにして増やすかが日本のR&Dの課題です。
R&Dの事例は?
R&Dは、多くの会社で設置されています。
中には、誰もが知っている企業もあります。
ここからは、例としてその一部を紹介します。
KDDI
KDDIのR&Dでは、最新の通信規格5Gをさらに発展させる研究をしています。
他にもAI技術やVR、ARそして量子コンピュータ時代を見据えたセキュリティ技術などのR&Dが現在行われています。
NEC(日本電気株式会社)
NECのR&Dでは、6つのコア領域「認識AI」「分析AI」「制御AI」「セキュリティ」「ネットワーク」「システムプラットフォーム」を定めています。
それぞれの技術に『圧倒的な革新』がもたらされることを目標に日々研究しています。
NTT(日本電信通信株式会社)
NTTのR&Dでは、安心・防災・持続可能な開発に関わる問題の解決を目的にしています。
NTTの強みであるネットワーク技術とさまざまな企業、大学、研究機関とが合わさり、日々オープンイノベーションが生まれています。
まとめ
これまで、R&Dを説明してきました。
R&Dは、コストが高い上に確実に成果が得られるわけではないため、投資を見送るケースが多くあります。
しかしながら、R&Dに投資してきた会社が成功していることは、記事で紹介した「KDDI」「NEC」「NTT」などの大企業を見れば明らかです。
会社を大きくしていきたいならば、リスクを恐れず、大きな成果を求めて果敢にR&Dに投資していきましょう。