クレドとは?導入意義や浸透させる方法を併せて解説!

クレドとは

クレドとは「信条」「指針」「志」「約束」を表すラテン語です。

クレドは、ビジネスにおいて「企業全体の従業員が心がける信条や行動指針」を指します。

企業理念や経営理念は、創業時に掲げられる抽象的な存在意義や価値を表します。

一方、クレドは時代に合った具体的かつ実践的な文章で表されるものです。

クレドの導入意義

クレドが、注目されるようになった理由として、2000年代に国内外で企業の不祥事が相次いだことが挙げられます。

海外では、不祥事により経営破綻した企業があり、日本国内でも食品産地偽装などの問題が取り上げられました。

近年でも、企業の従業員によるモラルの欠けた行動によって、SNSで炎上する案件が多発していたことは、記憶に新しいのではないでしょうか。

クレドは、コンプライアンスを守るために、企業の経営者や従業員の行動や意思決定の基準として設定されます。

クレドのメリット

クレドのメリットとしては、

・規範の明確化

・モチベーションの向上

・人材教育

の3点が挙げられます。

規範の明確化

一般的に、企業が掲げている企業理念や経営理念は、抽象的なものが多いです。

クレドは、企業理念や経営理念を実現するための具体的な行動指針を示したものです。

また、簡潔な言葉で示されるものなので、従業員が企業としてとるべき行動がわかりやすくなっています。

企業理念や経営理念が、創業時に掲げられる企業の存在意義や価値を表した抽象的なスローガンであるのに対し、クレドは企業の成長や時代に合わせて変わっていく具体的な行動指針であると覚えておきましょう。

モチベーションの向上

クレドは、経営陣などの上層部だけでなく、従業員たちの意見も反映して作成されるものです。

そのため、従業員たちの主体的な判断や思考、行動が期待されます。

従業員たちの企業への帰属意識も高くなり「企業のために自分が今できることはなにか」と考えるきっかけにもなります。

クレドは、上層部による一方的な押し付けではなく、従業員も参加して作成されるものであることから「自分たちも参加している」という意識が生まれ、従業員たちのモチベーションの向上に繋がります。

人材教育

クレドを企業内に周知させることで、思考や行動に共通認識が生まれます。

日常的に、具体的な行動指針をはっきりさせておくことで、企業にとって有益な行動をとれる人材を、教育することができます。

クレドは、日常的に企業と個人の価値観のすり合わせができるツールなので、日々企業のための行動が取れる人材へと成長します。

クレドの作成手順

クレドの作成手順は様々ですが、基本は以下の通りです。

・プロジェクトチームを作る

・経営者や従業員にアンケートを取る

・文章化する

・フィードバックをもらう

プロジェクトチームを作る

クレドを作成するプロジェクトチームは上層部だけでなく、管理部門や一般従業員からも選出します。

このとき、企業全体の行動指針を様々な角度から議論することが必要です。

現在の企業の経営理念や行動指針を基にして、企業が持つべき方向性や行動指針について徹底議論しましょう。

クレドを作る意義や、いつまでに作成するのかといったスケジュールも決めましょう。

どうしてクレドを作るのか、クレドによって実現したいことや目標まで入念な議論が必要不可欠となります。

経営者や従業員にアンケートを取る

経営層に、経営理念や今後どうなっていきたいのかを、ヒアリングします。

そして、全従業員にもクレド作成に向けたアンケートを取ります。

会社に携わるひとりひとりの声を、クレドに反映させることで、従業員のモチベーションの向上を図りましょう。

主に、経営層には今後のビジョン、従業員には現状をアンケートすることで、クレドの目標と今取るべき行動が見えてきます。

文章化する

アンケートを反映して文章化しましょう。

このとき、読み手として意識するのは従業員です。

読みやすく理解しやすいように、簡潔かつ具体的になるように心がけましょう。

最後に、名刺ほどのサイズのカードとして作成すると、従業員が日常的に取り出して確認できるようになります。

フィードバックをもらう

作成したクレドが理念や行動とずれていないか、経営層と従業員それぞれからフィードバックをもらいましょう。

必要があれば修正して最終的なクレドを完成させます。

フィードバックを貰うことによって、誰もが納得できるクレドを作成することが可能になります。

クレド導入の注意点

クレドを導入する際に気をつけなければいけない点が3つあります。

・目的を共有する

・従業員の意見を聞く

・現実性のあることを記載する

目的を共有する

まず、クレドを導入する目的や意義を従業員に共有する必要があります。

クレドを導入する理由と、どのような成果を期待しているのか共有することで、一方的な押し付けではないことを明確にします。

従業員の意見を聞く

全従業員からのアンケートを反映させることで、自分たちもクレド作成に参加しているのだという協調意識を持たせます。

クレドを理解し、その内容に納得して行動できるようにするためには、全員の意見を尊重する必要があります。

全員で作るクレドだからこそ、従業員の意見を聞くことは、モチベーションの向上に繋がっていきます。

現実性のあることを記載する

クレドは、実際の行動と矛盾していないことが、求められます。

理想が高すぎたり、すぐに行動に移せない非現実的なことを書いてしまうと、モチベーションの低下や企業イメージの悪化に繋がるからです。

クレドに書く内容は、実際の行動に移せる現実的なものにしましょう。

クレドの導入事例

ジョンソン・エンド・ジョンソン

ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、60年以上前からクレドを導入しています。

1982年、ジョンソン・エンド・ジョンソンの製品に毒物が混入され、服用した人々が死亡する事件が相次ぎました。

ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、クレドにより浸透していた「消費者の命を守る」という信条に基づき迅速に会議を開き、全商品の製造中止・販売停止という対応に取り掛かりました。

後の調査で、第三者による毒物混入が原因だとわかり、ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、カプセル・パッケージに第三者が異物を混入できないように改良・発表し、売上を回復しました。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、クレドによる迅速な行動により尊敬と信頼を集め、全社存続の危機となった事件を乗り越えました。

このような優れた対応を理想として、ビジネス社会にクレドの概念が広まったのです。

まとめ

クレドは、時代や企業の成長に合った具体的かつ実践的な文章で表される行動指針のことです。

クレドは、コンプライアンス遵守のために、企業の経営者や従業員の、行動や意思決定の基準として設定されます。

クレドのメリットとしては、規範の明確化、従業員のモチベーションの向上、人材教育が挙げられます。

クレドを作成する際には、上層部だけでなく管理部門や従業員の声を聞いて反映させるようにしましょう。

この時、ひとりひとりの意見を取り入れた現実的な内容にする必要があります。

ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、クレドにより危機を乗り越え社会的な信頼を取り戻しました。

クレドを導入して社会にも従業員にも信頼される企業づくりを目指しましょう。

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