ノーマライゼーションとは?実現方法と取り組み内容を併せて解説!

皆さんは「ノーマライゼーション」という言葉を知っていますか?

聞いたことはあるけど、意味はあまり良く分かっていないという人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、ノーマライゼーションについて実現方法や取り組み内容を併せて紹介していきます。

ノーマライゼーションとは

ノーマライゼーションとは、「障がいの有り無しや年齢、社会的マイノリティなどに関係なく生活や権利が保障された環境を作っていく」という考え方の事です。

英語で「ノーマライゼーショ(normaraization)」とは正常化、標準化という意味があります。

ノーマライゼーションは、それまで特異だったことを当たり前にしていくという考え方が、含まれています。

分かりやすく例えると、障がい者や高齢者などの社会的弱者に対しての特別視をせずに、誰もが、同じように生活できる社会を目指していくという発想です。

この考え方は厚生労働省も推進していて、国際的にも障碍者福祉の基本理念として定着されつつあります。

簡単にいうと、障がい者が一般市民と同じように普通の生活を送り、同様の権利が保障されるように環境整備を目指す理念をいいます。

ノーマライゼーションが提唱される以前は、多くの知的障がい者が大型施設に収容されていて、自由に外出したり好きなことをすることが許されていませんでした。

この理不尽なルールを改善しようとしたミケルセンは知的障がい者の生活条件改善のために法改正に乗り出し、「ノーマライゼーション」という言葉を盛り込んだ知的障害者福祉法が1960年に制定されました。

加えて、1959年には知的障がい児者連盟のベンクト・ニィリエによって、ノーマライゼーションは定義づけられました。

1971年・国連知的障がい者権利宣言、1975年・国連障がい者権利宣言、1981年・完全参加と平等をテーマに国際障がい者年、1983年・ソーシャル ロール バロリゼーションを提唱しました。

その後、1990年・アメリカ「ADA法(障害者差別禁止法)」1993年・国連で「障がい者の機会均等化のための標準機読」が採択、2006年・国連で「障がい者権利条約」が採択されていきます。

そして1982年には障がい者に関する世界行動計画が採択され、この年を境に日本でもノーマライゼーションの考え方が浸透していきました。

ノーマライゼーションは、これほどの歴史を得て世界に広まっています。

日本での障がい者の現状

内閣府が出している障がい者の全体的状況を見てみると、ここでは、身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、厚生労働省による「生活のしずらさなどに関する調査」「社会福祉施設等調査」または「患者調査」に基づき推計された基本的な統計数値を掲載されています。

身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、各区分における障害者の概数は、身体障害者(身体障害児を含む)436万人、知的障害者(知的障害者を含む)108万2千人、精神障害者、392万4千人となっています。

これを人口千人当たりの人数でみると、身体障がい者は34人、知的障がい者は9人、精神障がい者は31人となります。

複数の障がいを持つ人もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ7.4%が何らかの障がいを有していることになります。

そして障がい者数は、昨今増加傾向にあり、ここ10年間で約1.4倍にもなりました。

障がいを持つ人が増加している原因として、高齢化や障害に対する認識の広がりなどが考えられます。

引用:https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/zenbun/siryo_02.html

参考:参考資料 障害者の状況 – 内閣府 (閲覧日 2022/10/18)

ノーマライゼーションを実現させるためには

ノーマライゼーションという考えをどのように実現するのかは、福祉の考え方を転換することが必要です。

障がい者を常に助けてあげることや守ってあげるという考え方から、障がいを持つ人一人一人が、自分自身で自立や自律できるように支援するという考え方に、転換するということです。

どんどん地域に出て行く、社会に出て行く支援をすることを、福祉の基本にするべきだという考え方です。

厚生労働省は、『障がい者の自立と社会参加の促進を目的として、ノーマライゼーションの理念に基づいた、サービス提供を充実させる』という取り組みを行っています。

平成15年度には、障害者の自己決定を尊重し、サービス事業者との、対等な関係を確立するための、支援費制度を開始しました。

利用者がサービス事業者を選択し、直接契約できる制度で、サービス利用者数の増加や安定化など地域生活を進める上での、支援が大きく前進しました。

その後、平成18年度には障がい者自立支援法に基づく新しい制度へ移行しました。

加えて、精神障がいを持つ人への人権に配慮した取り組みも開始しました。

「精神医療の確保、自立と社会経済活動への参加の促進」の2つをテーマに、入院患者の処遇の改善、地域で生活する精神障害者の支援などが、積極的に行われています。

さらに、障がい者の社会参加推進としては、情報伝達(コミュニケーション)手段確保のため、障がい者への情報提供の充実、手話・点訳に従事する奉仕員の養成・派遣などが行われています。

在宅の障がい者やその家族に対しての援助、全国障害者スポーツ大会の開催にも、取り組んでいます。

 日本おけるノーマライゼーションの取り組み

日本では、国連総会が1981年に宣言した「国際障害者年」をきっかけに、ノーマライゼーションの考え方が意識され始めました。

「障がい者雇用促進法」とは、事業主が障害者を雇用する際に守るべき義務を定め、差別の禁止や安全配慮義務などが盛り込まれています。

障がい者雇用促進法では、すべての国民が障がいの有無にかかわらず、個人として尊重されることが掲げられています。

このことから、就労の場面においても、雇う側は、障がいを持つ人とそうでない人を区別せずに、労働者の1人として活躍できる場を作って提供することが重要であるとされています。

「社会福祉法人ノーマライゼーション協会」とは、「すべての人の人権を基軸としたノーマライゼーション社会の実現」を理念に挙げている取り組みをしている機関です。

人々が、共に生きるための生活すること、仕事をすること、創造すること、アートすることを大切にする取り組みを進めています。

日本では、教育の面でもノーマライゼーションが注目されていて、その中でも特に注目されているのが、障がい者をはじめとするようなバックグラウンドを持つ方でも、一生に教育を受けられるようにする「インクルーシブ教育」というものです。

インクルーシブ教育は、障がいの有無にかかわらず可能な限り一緒に学ぶことを目指しています。

インクルーシブ教育が、重要にしているポイントは、子供が学校で充実した時間を生活し、一人一人が、個人の能力に合った教育を受けられる仕組みにするということです。

取り組みとして、就学前における早期からの相談・支援の充実、特別支援学校における教育環境の整備、小中学校における障がいのある子供の学びの充実、ICT利活用等による特別支援教育の質の向上、関係機関の連携強化による切れ目ない支援の充実が挙げられます。

まとめ

これら多くの取り組みを日本では実践していますが、その一方でノーマライゼーションは、多くの課題を抱えています。

ノーマライゼーションは、実現すれば、明るい未来になる可能性を秘めている大切な理念です。

ノーマライゼーションを実現させる上で、大切な事は自分自身は関係ないと思わず、世界の生活をより良くしていきたいと考え、学ぶことが大切です。

現在では、さまざまな場面でノーマライゼーションを学ぶ機会があり、ノーマライゼーションを学ぶ学生など若い世代も多く存在します。

企業経営においても、ノーマライゼーションの考えを取り入れて、人事評価制度の見直しや労働環境の整備を考えていくことが必要です。

すべての人が生きやすい生活を実現していきましょう。

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