ジェンダーギャップとは?日本の問題点や改善方法についても解説!

ジェンダーギャップという言葉を聞いたことがありますか?

SDGs(持続可能な開発目標)の動きが世界中で進む中で、ジェンダー平等を実現しようという意識は広がっていますが、その現状については理解できていない人も多いかもしれません。

そこで、今回はジェンダーギャップの指標として発表されているジェンダーギャップ指数について詳しくみていきながら、日本の問題点や改善方法についても解説していきます。

ジェンダーギャップとは

ジェンダーギャップとは、男女の違いによって生じる格差のことです。

ジェンダー平等の実現のために、一つの指標として注目されているのが「ジェンダーギャップ指数」であり、各国の男女格差を数値化したもののことをいいます。

スイスの非営利財団世界経済フォーラム(WEF)が、2006年から毎年発表しており、男女平等格差指数ともいわれています。

ジェンダー指数は、各国が自分の国の男女格差を具体的な数値で認識し、格差是正に取り組むための指標としてもらうことを目的として、毎年発表されています。

ジェンダーギャップ指数の概要

ジェンダーギャップ指数は、経済活動への参加と機会・教育の到達度・健康と生存率(保健)・政治への参加と権限、の4分野14項目で構成されています。

「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示します。

この指数を元に、ランキング形式で発表しているものがジェンダーギャップ指数ランキングです。

世界各国で男女平等の社会に向けた取り組みが進められている中で、とても注目されている指標といえるでしょう。

日本のジェンダーギャップ指数

ジェンダーギャップ指数が公表されている「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書」によると、日本の2022年度スコアは0.650、総合順位が146か国中116位でした。

先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となっているのです。

分野別にみてみると、出生時の男女比・健康寿命の男女比などの保健分野や、識字率・中等教育在学率などの教育分野は高水準であるものの、経済や政治分野で極端に順位が低くなっており、女性の社会活動への参加率の低さが顕著になっています。

経済や政治分野への女性参加を推し進めていくためには、ジェンダーギャップを解消する取り組みを積極的に行っていくことがとても重要だと言えるでしょう。

ジェンダーギャップ指数が低い場合の問題点

ジェンダーギャップ指数が低いことは、男女格差が大きいことを表してしていると言えます。

ジェンダーギャップ指数が低いと、どのような問題が起こるのでしょうか。

ここからは、具体的に解説していきます。

雇用格差が広がる

ライフイベントに、働き方を左右されがちな女性にとって、安定した仕事を長く続けていくには、さまざまな壁があります。

妊娠や出産によって仕事ができない期間が発生してしまうことで、女性の採用に消極的な企業もいまだに多く、採用後でもマタニティハラスメントなどの、差別を受けてしまう可能性は、男性よりも女性のほうが高くなってしまいます。

結婚や出産を機に正社員を退職してしまうと、育児との両立が難しいことからパートや非正規雇用の職しか就けないと感じてしまう女性も多く、正社員として再度就業することを諦めてしまう人も多いでしょう。

男性の育児参加や企業の制度拡充をより一層進めていかないかぎり、女性が男性と同じような雇用機会を得ることは難しいケースが多いのです。

賃金格差の広がり

雇用格差と同じく、女性は賃金の低い非正規職の割合が高くなってしまいがちです。

男女別の正規・非正規の雇用割合を見ても、男性は正規雇用が8割以上な一方、女性の正規雇用は5割未満というデータもあります。

妊娠・出産といったライフイベントによって正社員としての職を一度手放してしまうと、再度同じような待遇での就職が非常に難しい現状にあります。

総合職と一般職といった職種別採用を導入している企業では、総合職の割合はいまだに男性比率が高く、一般職として採用されることが多い女性との賃金格差は大きくなっていることが多いのです。

被害を受ける女性が増える

女性差別によって、暴力や虐待の被害が増えることも問題の一つです。

配偶者や交際相手からの暴力だけでなく、職場でのセクシャルハラスメントやストーカー、性暴力の被害者も圧倒的に女性のほうが多くなっています。

力や立場の弱い女性が差別の対象になってしまうのは、ジェンダーギャップ指数の低い国ほど深刻となっており、日本でも女性の性被害の多さは度々問題視されています。

ジェンダーギャップ指数改善のための方法

日本のジェンダーギャップ指数を改善するためには、スコアの低い経済・政治分野での男女格差を改善していくことが重要です。

具体的にどのような対策が必要か考えてみましょう。

雇用形態による格差の是正

同じ業務内容にもかかわらず雇用形態によって賃金格差が生じることを無くすことを目的とする「同一労働同一賃金」は、正規雇用と非正規雇用の格差を解消するためのとても重要な取り組みです。

非正規雇用につく割合の多い女性にとって、業務内容や責任が同一の場合には同水準の給与が支給されることで就業機会や選択肢を広げることができるでしょう。

雇用形態による格差を無くすことは、女性活躍推進のために、今後もますます重要となってきます。

仕事と家庭の両立支援を推進する

女性の社会進出を推進するためには、ライフイベントにかかわらず女性が長く就業できるように企業が制度を拡充することに加え、男性の家事育児参加を進めることも重要です。

労働人口が減少していく日本では、仕事も家庭も男女の性差にかかわらず担っていくことが今後ますます必要になっていきます。

企業は、育児休業や時短勤務制度はもちろん、在宅勤務制度をとりいれたり、育児や介護と仕事を両立しやすい環境や制度を導入していくことはもちろん、それらの制度を男性も取得しやすくしていくことが重要なのです。

女性のキャリアアップ支援を充実させる

ライフイベントによってキャリアを中断してしまうことが多い女性にとって、復帰後も変わらず活躍できるスキルの取得支援や、キャリアアップを目指せる環境や制度を整えることはとても重要な支援といえます。

2015年に成立した「女性活躍推進法」により女性が働きやすいだけでなく管理職としても活躍できる環境づくりを進める企業が増えてきました。

スキルアップのための研修やセミナーを設けたり、女性でも管理職へチャレンジしやすい社内制度を整えたりする動きは今後もますます重要になってきます。

諸外国と比べて経済や政治分野での女性リーダーが極端に少ない日本では、女性が社会で活躍できる環境整備が急務ともいえるでしょう。

まとめ

日本のジェンダーギャップを改善していくさまざまな取り組みや動きは年々高まっていますが、ジェンダーギャップを理解し、職場環境に活かしていくことは今後も日本の重要な課題です。

男女平等に向けた取り組みはさまざまな分野で行われています。

しかしながら、根強い慣習や考え方などにより問題を完全に解決することは容易ではありません。

ジェンダーギャップ指数の高い諸外国の取り組みや、進んで制度を整えている企業の事例などを、しっかりと理解し取り入れようと努めることはで、日本全体のジェンダーギャップを変えていくことに繋がります。

ジェンダーギャップに対する正しい知識を持ち、一人ひとりが意識して行動していくことが大切なのです。

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