今回は、クリエイティブコモンズについて解説します。
デザインに関わる方であればよくご存じであろうクリエイティブコモンズですが、そのクリエイティブコモンズについてあらためてご紹介し、著作権との違いについてもご説明します。
クリエイティブコモンズは著作権とは違います。
しかしこのことが理解できていないために、著作権にふれてしまうケースも発生しかねません。
そのような事態をぜったいに引き起こさないためにも、この機会にクリエイティブコモンズと著作権の違いをしっかりと認識していただけたら幸いです。
クリエイティブ・コモンズとはなにか
クリエイティブ・コモンズは、
著作権を持つ者が、自らの著作物を他者に対して特定の条件の下で自由に利用・共有・再利用できるようにするライセンスの名称です。
これにより、著作権者が全ての権利を保持する従来の著作権とは異なり、利用者に一定の自由を与えることが可能となります。
例えば、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付与した写真や文章をインターネット上で使用する場合、一部の条件(著者のクレジット表示や非営利利用)を守ることで、著作権者の許諾なしに自由に利用することができます。
このように、知的財産の保護と共有を両立させるための新しい形態の著作権ライセンスとして広く活用されています。
近年、インターネットの普及によってイラストや写真、デザインなどのさまざまな作品が公開されています。SNSなどの利用で活発に拡散されるためスピードもますます速まる一方です。
そして、公開された作品には世界中から多くの人々がアクセスしています。
しかし、気軽にアクセスできる環境になったために作品の権利が守られない事態が起こる可能性もあります。
クリエイティブコモンズは、作品の著作権を守るツールとなるために作られたルールなのです。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスでは著作権の保護が大前提であり、作者の意志による条件を守ることで、その作品を自由に使用できるルールを策定しています。
クリエイティブ・コモンズの理念
クリエイティブ・コモンズは、法律や技術の専門知識がなくても、シンプルに利用できるように作られています。
4種類のアイコンを組み合わせて好きな条件を設定し、インターネットから作品を世界に発信できます。
クリエイティブ・コモンズの4種類のアイコン
- 表示(Attribution)アイコン:このライセンスでは、著作者のクレジット表示が必要とされます。作品を使用・共有する際には、著作者の名前を表示する必要があります。
- 非営利(NonCommercial)アイコン: このライセンスでは、作品の商業目的での使用を許可していません。非営利目的での利用や共有は可能です。
- 継承(ShareAlike)アイコン: このライセンスでは、派生作品にも同じクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを適用することが要求されます。派生作品を公開する際に、元の作品と同じライセンスを使用する必要があります。
- 禁止(NoDerivatives)アイコン: このライセンスでは、作品の改変や派生作品の作成を許可していません。オリジナルの作品をそのまま共有することは可能ですが、改変や翻案は許可されていません。
これらのアイコンは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与された作品の特定の利用条件を示すために使用されます。利用者はこれらのアイコンによって、作品の利用範囲や条件を把握することができます。
クリエイティブコモンズのライセンス
クリエイティブ・コモンズのライセンスは、著作権を持つ者が自らの作品に対して特定の利用条件を設定し、他の人が自由に利用・共有・再利用できるようにする役割を持っています。
従来の著作権では、著作権者が全ての権利を保持し、利用者は著作権者から事前の許諾を得なければならないという制約がありましたが、クリエイティブ・コモンズのライセンスはこの制約を緩和し、より柔軟な利用が可能となります。
つまり、完全な著作権保護から完全な著作権の放棄までの中間となる役割を持っているということです。
クリエイティブ・コモンズの理論/4種類のアイコンで説明した要素を組み合わせて、著作権者は自らの作品に対して希望する利用条件を明確に設定することができます。
利用者は、作品にクリエイティブ・コモンズのライセンスが付与されている場合、これらの要素に従って自由に作品を利用・共有・再利用することができます。
たとえば、コンテンツに対しての著作権は保持したまま、一定の自由を許可する、という条件を分かりやすく表示することもできます。
このような条件を設定することで、自由な著作権のルールを広く認識させ、情報の流通を促して文化や科学技術の発展への貢献にもなります。
クリエイティブコモンズと著作権法の違い
クリエイティブコモンズと著作権法を混同されることもありますが、
大きな違いはクリエイティブコモンズは著作権とはちがって法的な強制力はありません。
最初にお伝えしたように、非営利組織による、著作権を大前提としたルールです。
著作権法には選択肢は2つあります。
- すべての著作権を所有する(All right reserved)
- すべての著作権を放棄する(No rights reserved)
クリエイティブコモンズには著作権の選択肢の真ん中とも言える「著作権の一部を放棄できる」ことを制定しています。
現在の著作権法は、親告罪といって、被害者側の訴えによってはじめて起訴される罪です。
そのため、作者が知らないうちに作品を無断使用されても、たとえ無断使用に気づいたとしても、そのままでは罪には問われません。
親告罪とは
被害者が被疑者との関係を持つ場合、自ら告訴することを指します。被害者が犯罪の事実を警察に報告することで、捜査が進行します。被害者と被疑者とのつながりを考慮しつつ、法の下で正当な対応が取られる仕組みです。
クリエイティブコモンズの大前提は著作権法です。
クリエイティブコモンズの表記を無視した無断使用などがあれば、その時点で著作権法違反として著作権者から訴えられて起訴される可能性があります。
著作権法とは
著作物の創作者に対して、その著作物を保護し、複製や頒布などの権利を与える法律です。著作権者が他者に利用を認める場合もありますが、無断利用は違法とされ、違反者には罰則が科されることもあります。
クリエイティブコモンズに類似したCCライセンスとライセンスバージョンについて
CCライセンス
CCライセンスは、『クリエイティブコモンズライセンス』の略でクリエイターが条件として提示したものです。
ライセンスバーション
ライセンスバージョンとは、クリエイティブコモンズライセンスにおけるバーション識別番号のことです。クリエイティブコモンズライセンスは、文や規定の見直しや改訂があるため、改定前と改定後での内容を区別するために、バージョンの番号をライセンスに付けて発行しています。
クリエイティブコモンズの例と使用方法
クリエイティブコモンズに沿った作品の利用や情報の使用時は、ライセンスを遵守する必要があります。
代表的なサイトとその使用例を説明します。
「Flickr」(写真、画像サイト)
Flickrは、沢山の写真が投稿されているサイトです。
ここでは、著作者がCCライセンスを設定しています。
作品を使うときは、画像をダウンロードしてライセンスに沿って掲載、活用しましょう。
「YouTube」(動画サイト)
最も知られている動画サイトYouTubeでも、クリエイティブコモンズを採用しています。
動画ページでは『もっと見る』の下部から、動画の作者が提示するライセンスが確認できます。
そのライセンスに則った掲載をしましょう。
YouTubeであれば、TwitterやFacebookへの共有も簡単なため、使用されることも多くなります。
「SoundCloud」(音楽サイト)
SoundCloudは、音楽サイトとしても最大級の約1億7700万曲の音楽を無料、無制限で聴けます。
お気に入りのアーティストのフォローや、自分で選んだ曲でプレイリストも作成できます。
無料でダウンロードできますが、必ずライセンス情報を確認してからダウンロードしましょう。
「Wikipedia」(無料百科事典)
無料百科事典で知られるWikipediaも、作者が画像のライセンスを決定しています。
画像ページの少し下には、作者や画像に関する説明があります。
確認すると『この作品の著作権者である私は、この作品を以下のライセンスで提供します。』と表示されています。
こうしたライセンスの設定を理解した上で使用しましょう。
まとめ
クリエイティブコモンズは、著作権を保護して活用するライセンスです。
クリエイティブコモンズと著作権法のちがいやその目的を理解することで、より有意義に画像や音楽、デザインを活用できます。
クリエイティブコモンズをきちんと理解し、資料制作や、事業に役立ててはいかがでしょうか。