インサイトとは?注目される理由と事例を併せて解説!

皆さん、「インサイト」という言葉をご存知でしょうか。

言葉は耳にしたことがあるけれど、一体どういう意味を表すのか分らない、という方も多いのではないでしょうか。

インサイトは、消費者インサイト、顧客インサイトとも呼ばれることもあります。

しかし、「インサイト」はよくマーケティング用語として用いられる言葉ですが、意味が理解しにくい言葉でもあります。

この記事では、インサイトについての意味やインサイトの成功事例を含めて具体的に解説します。

インサイトとは

インサイトとは、「洞察」や「物事を見抜く力」などを意味する言葉です。

そして、マーケティングにおけるインサイトの意味としては、「人を動かす隠れた心理」を指しています。

人を動かす隠れた心理とは、消費者自身も気づいていない無意識での心理のことをいいます。

無意識の状態ということで、インサイトは「潜在的ニーズ」と混同することがありますが、これは正しいとは言えません。

潜在ニーズは、欲求があるのにそれに気付いていない状態を指し、対してインサイトはまだ欲求さえない状態を指しています。

商品やサービスを利用してみて初めてわかる感情だったり、当たり前のこととして見過ごしている課題だったり、インサイトはさまざまなところに存在しています。

商品・サービスを生み出す側は、そのような消費者の心理や思考を考えた上で、商品・サービスを考え新たな需要やマーケットを探っていく必要があります。

インサイトが注目される理由

現在、スマートフォンが普及し、インターネットがいつでもどこでも繋がる時代になりました。

商品・サービスに対しても沢山の情報の中から自分の気に入ったものを選択していく力が必要になっています。

近年、高品質で手ごろな商品やサービスが当たり前になり、恐らくどれを選んでもそう失敗はしないでしょう。

しかし商品やサービスが溢れ過ぎている現在、消費者が商品やサービスを選んだ理由は特にはっきりしていないことが多く、商品やサービスを選ばなかった理由も明確ではありません。

SNS等で毎日流れてくる商品を眺めてみては全く買うはずのなかった商品を買っていたなんて経験ある方も、多いのではないでしょうか。

欲しいものが簡単に手に入る時代で多くの人が満たされた今、企業にとって消費者の必要とする商品やサービスは「需要を見つけてつくる」のではなく、「需要からつくり出す」ものになりました。

機能や品質が均質化され、消費者に重要視されるのは「価値」や「体験」です。

消費者の置かれている状況を理解し、そこから考えられる消費者が必要とする何か、つまり「インサイト」を発見しなくては、新たな需要をつくり出すことは難しいのです。

インサイトの成功事例

ここでインサイトに成功した事例を2つ紹介します。

パナソニック:食器洗い乾燥機

家電メーカーのパナソニックの食器洗い乾燥機は、洗濯機よりも人気が出るほどヒットし、2003年に売上のピークを迎えました。

しかし、2003年を境に売上は徐々に低迷し、その後、ドラム式洗濯機や薄型テレビ、サイクロン掃除機など最新家電が次々と登場したこともあり、食器洗い乾燥機の市場自体が縮小していきました。

そこでパナソニックでは、食器洗い乾燥機のニーズが、高いとされていた子育て層の主婦をターゲットに販売戦略の再構築を開始しました。

再構築に向けて調査を進めていくと、競合他社を含めた食器洗い乾燥機の主な打ち出しは、「家事がラクになる」というものです。

加えて、この訴求は本当に正しいのかを検証したいと考えたパナソニックは、主婦の日常生活を徹底調査し、ターゲットの顧客インサイトを探ることで、子育て層の潜在的なニーズを見つけました。

その結果、子育て層には「子育てをしっかりやることが愛情表現である」という潜在意識があり、「家事がラクになることは子育てに手を抜いている」と見られるのではないか、と考えていることがわかりました。

子育てをしている主婦層には、育児や家事の負担を家電で解消することに罪悪感があり、それが食器洗い乾燥機への購入に歯止めをかけていたというインサイトを発見することができました。

この結果から食器洗い乾燥機がもたらす価値の訴求を大きく変更し、「家事をラクにする家電」から「子どもと一緒にいられる時間を長くする家電」へブランディングの変換を図りました。

子供との時間を大切にするための、食器洗い乾燥機といったプロモーションにより、ターゲットの罪悪感を取り除き、顧客インサイトを発掘しました。

その結果、競合他社が市場から撤退する市場の中で売上を回復することに成功しました。

大戸屋ホールディングス:2階以上の店舗

大戸屋ホールディングスがチェーン展開する和定食店「大戸屋ごはん処」は、地下や2階以上に位置していることが多いです。

一般に集客力が弱いといわれる地下や2階に店舗を置くのは、ターゲットである女性客のインサイトと関係があります。

大戸屋ごはん処が全国展開を始めた1990年代、和定食チェーン店はまだ少数でした。

さらに、定食店は男性がたくさん食べるために行くところというイメージが強く、特に女性の集客が難しいとされていました。

大戸屋ホールディングスは新たな客層である女性を呼び込むため、「一人での外食が苦手」という女性の気持ちに着目しました。

調査を進めると、一人で外食するのが苦手なのではなく、「一人で店に入るところを見られたくない」というインサイトが見つかったのです。

そのことから、地下や2階という人の目に触れにくい場所に店舗を構え、きれいで明るい内装や野菜をふんだんに使ったメニュー、当時珍しかったカロリー表示などで女性客の心をつかみました。

まとめ

今回は「インサイト」の意味や事例についてをまとめてみました。

いかがだったでしょうか。

マーケティングにおいてヒット商品を生み出すには、顧客インサイトを探ることが重要であり、顧客インサイトは、消費者の深層心理を可視化することで企業にとって有益な情報を与えてくれます。

日々移り変わる市場の流れや消費者の心理を常にキャッチアップし、商品・サービスに適合していくことがヒット商品を生み出すことに繋がっていきます。

インサイトは、消費者自身も意識していない領域です。

言動や行動、感情など消費者の表面的な部分から、消費者インサイトを見抜かなければなりません。

アンケート調査からインタビュー、行動観察など、インサイトを見出すための調査方法は様々です。

どれか一つを行ったからといってインサイトを発見できるものではなく、あらゆる調査で得られた結果をもとに洞察やアイディアを加える必要があります。

事例を見ると理解できると思いますが、もし消費者インサイトが見つかると、特に目新しいことではないことがほとんどです。

このことから、ほんの少しの引っかかりから因果関係や相関関係を探った先にインサイトは存在しているということがわかると思います。

非常に難しく感じますが、好奇心をもって消費者を観察することがインサイトを見つける鍵になります。

膨大なデータを収集したり、似たような事柄を結び付けたりして考えるためには、マーケティングリサーチ会社や分析ツールなどを利用することも手段のひとつです。

ぜひ消費者インサイトを探って新たなマーケティングに活かしてみてはいかがでしょうか。

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