皆さん、ローコンテクストという言葉をご存知でしょうか。
言葉は耳にしたことがあるけれど、一体どういう意味を表すのか分らない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ローコンテクストについて具体的に解説します。
ローコンテクストとは
ローコンテクストとは、知識やカルチャーの理解がなくても分かる、シンプルで明快なコミュニケーション方法のことです。
コンテクスト(文脈)に頼らずはっきり言葉にするコミュニケーションスタイルのことをいいます。
日本以外の国では特に「ローコンテクスト」のコミュニケーションスタイルが主流になっています。
「ローコンテクスト」と区別されるコミュニケーションスタイルに「ハイコンテクスト」というものがあります。
「ハイコンテクスト」というのは「ローコンテクスト」と反対の意味を持つ言葉で、
コミュニケーションや意思疎通を図るときの言語や価値観、考え方等が非常に近い状態のことを指します。
具体的には、「空気を読む」というように前提の知識や暗黙の了解がお互いに理解できているからこそ可能なコミュニケーションスタイルのことを指します。
日本は、世界でも有数のハイコンテクスト文化といわれています。
日本人は日本の特有の文化等の理由から「ローコンテクスト」でなく「ハイコンテクツ」のコミュニケーションスタイルを好みます。
例えば、日本の文化は「空気を読む」などのように前提の知識や暗黙の了解がお互いに理解できているからこそ可能な「ハイコンテクストな文化」とされています。
しかしながら、新型コロナウイルスが蔓延したことによって、コミュニケーションスタイルが従来の「ハイコンテクツ」から「ローコンテクツ」へとシフトしてきました。
欧米はローコンテクスト文化?
日本などのアジア圏内の国では、ハイコンテクスト文化が主流となっていますが、欧米では、ローコンテクスト文化が主流のコミュニケーションスタイルです。
特に、アメリカやオーストラリア、カナダなどはその度合いが高いとされています。
日本におけるのおけるハイコンテクストの広まりと同様に、ローコンテクストが好まれるのは英語の性質による影響が関係しています。
では、英語の特徴について考えてみましょう。
英語は、言葉が細かく分かれているのが特徴です。
「頭」を例にすると、日本語では頭から脳みそまで「頭」に含まれ、一つの単語で複数の意味を表しますが、英語は頭全体を「head」、脳みそを「brain」と、それぞれ異なる単語で表現します。
また、日本語の「見る」を英語で表すと、微妙なニュアンスの違いごとに異なる単語(see・watch・look)が存在しますよね。
ローコンテクスト文化が、主流となった背景には、このような言語の細分化が影響しています。
ローコンテクストのメリット
コミュニケーションのローコンテクスト化には、主に2つのメリットがあります。
1.曖昧さがなく明確なものなので誰にでもわかりやすい
ローコンテクストのメリットとして挙げられのが、聞き手にとって分かりやすいという点です。
ローコンテクストは、内容の言語化が求められるコミュニケーションスタイルのため、曖昧な言い回しや伝え方は用いられません。
そのため、ローコンテクストを心がけることで、聞き手側の文化がどれだけ違っても、伝えたい内容をしっかり伝えることができます。
2.オンラインでもコミュニケーションの食い違いを減らすことができる
オンライン上で、問題となりやすいコミュニケーションの食い違いも減らすことができます。
オンラインは、対面とは違い察するということができないため、ハイコンテクストでは内容の理解に食い違いが起こってしまうことがあります。
しかしながら、ローコンテクストは伝えたい内容をはっきりと言葉にするため、お互いの理解に食い違いが起こりにくくなります。
メンバー間の理解が一致しているかどうかは、ビジネスにおいて重要な観点です。
コロナ禍で転職したての私が在宅勤務に変わってから、自分自身も会社も手探り状態だったため、最初の頃はコミュニケーション齟齬の多発や、日本人特有の曖昧さが残るメッセージでのやりとり等かなり苦労しました。
対面からオンラインでのコミュニケーションになったことでコミュニケーションの取り方を大きく変える必要があると感じるきっかけになりました。
ビジネスシーンで「ローコンテクスト」が重要視されるようになった理由
さて、日本人の好む「ハイコンテクスト」ですが、現在ビジネスシーンでは「ローコンテクスト」が重要視されるようになりました。
理由は大きく二つ挙げられます。
一つ目:急速なオンライン化が進んだこと
コロナウイルスが大流行した2020年、私たちの生活は大きく変化しました。
緊急事態宣言中、ステイホームやオンライン会議を余儀なくされたという方も大勢いるのではないでしょうか。
在宅勤務になったことで、通勤時間がなくなり、自由な時間が増えるというメリットがある反面、相手の細かい表情が分からず、コミュニケーションが取りにくいという問題も浮上したのではないでしょうか。
チャットやオンライン会議だけで、日本人特有の「空気を読む」というコミュニケーションスタイルで仕事をやりきるのは、想像以上に難しいです。
そして、コロナ禍の今、空気を読むのではなく直接相手に伝えようという意識が必要で「ハイコンテクツ」から「ローコンテクスト」文化へシフトチェンジしていく必要があります。
私たち日本人が得意とする相手の表情や雰囲気から「空気を読む」というコミュニケーションスタイルは、対面だからこそできたことです。
オンラインでは、顔を見せることに抵抗がある場合、画面をOFFにすることができます。
そのため、なおさら表情を汲み取ることが難しいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
チャットやオンライン会議だけで、日本人特有の「空気を読む」というコミュニケーションスタイルで仕事をやりきるのは、想像以上に難しいです。
そして、コロナ禍の今、空気を読むのではなく直接相手に伝えようという意識が必要で「ハイコンテクツ」から「ローコンテクスト」文化へシフトチェンジしていく必要があります。
二つ目:社員数の増加に伴った価値観の多様化
社員数が増加したことで、価値観が多様化していることも要因の一つです。
自社の目標などを伝える際に、社員数が少ない場合は、はっきり言葉にしなくても、伝えることができ、共感を得ることができます。
しかし、社員数やバイトを増やすとなると、価値観もそれぞれ異なるため、伝わりにくくなってしまう可能性があります。
そんな中で、ローコンテクストを用いると、分かりやすいカルチャーを作ることができると同時に、自社の目標に共感する社員やバイトの採用を行うことが可能になります。
企業の成長を妨げるトラブルを未然に防ぐと共に、企業成長を加速させる人材の獲得が可能となります。
会社の従業員の入れ替わりが激しい現在、特にこの多様化された従業員が効果的に働くため、形式の共有やガイドラインの提示、わかりやすい仕組みづくり等の「ローコンテクスト」の考え方が重要です。
まとめ
今回はローコンテクストについてまとめてみました。
いかがだったでしょうか?
近年コロナウイルスの影響で社会の環境は大きく変化し、改めて従来のコミュニケーションスタイルを見直していく必要性があります。
特に、ビジネスシーンでは、全てがオンラインにシフトしたことで、私たちの得意とする空気を読む従来の「ハイコンテクスト」では相手とうまくコミュニケーションを取ることが難しく、人間関係や業務の遂行に影響が出る可能性が高いです。
企業のグローバル化も進歩してきた今こそ「ローコンテクスト」な曖昧でなく明確なコミュニケーションの取り方を取り入れるべきだと強く感じました。
もちろん、日本人同士の対面でのシーンであれば空気を読む「ハイコンテクスト」が良い場合もあるのでビジネスシーンとそうではない場合をうまく使い分けることも重要になります。
それぞれの企業に合う、コミュニケーションスタイルを模索し、導入してみてはいかがでしょうか。