急速に進むIT社会の中で、昨日の常識が今日には、変わっているということもありえます。
そんな不確定な見通しを立てにくい状況をVUCA(ブーカ)と呼びます。
近年VUCAは、企業の問題解決につながるのではないかと、注目を集めています。
では、VUCAとはなんなのでしょうか?
今回は、VUCAの意味から個人や企業に求められる要素までを解説します。
VCUA(ブーカ)とは
VCUAとは、変動性という意味の「Volatility」、不確実性という意味の「Uncertainty」、複雑性という意味の「Complexity」、曖昧性とい意味の「Ambiguity」から頭文字をとって生まれた造語です。
これら4つの単語から成り立つVUCAは、市場やビジネスなどの世界において未来が予測しづらく、不確定な状況であるということを表しています。
現代の状況を表していることから、VUCA時代と呼ばれることもあります。
VUCAが時代にもたらす2つの要素
VUCAの時代では、先が見えないため何が起こるかわかりません。
VUCAの時代では、どんなことが起こると予想されているのでしょうか?
重要な2つの要素を紹介します。
昨日の常識が今日には変化している
2017年までは、朝に会社に出勤し夜に帰宅をして自宅で過ごすことが当たり前でした。
しかし、2018年に突如、COVDI−19(コロナウィルス感染症、以下:コロナ)が全世界に蔓延しました。
世界規模で感染者は増加し、死亡者は2022年5月現在で500万人を超えています。
コロナの影響でロックダウンで外に出られない地域が発生したり、人との接触を最低限にしなくてはならないという状況で、自宅で仕事をする在宅ワークが急速に普及しました。
昨日までは会社に出社して働く、企業はオフィスを保有するという当たり前の常識が、今日には自宅でも仕事が出来るようになったり、企業によってはオフィスを売却したりしています。
大学でも、対面授業からオンライン授業へと切り替えたりと、今まで当たり前とされていた常識が突如として塗り替えられるVUCAの時代です。
ただ、常識が塗り替えられるというのは悪いことではなく、新しいビジネスチャンスも生まれています。
変化を悪と捉えるか、善と捉えるかは人それぞれですが、この常識が変わるということにどう対応していくかも非常に重要なことです。
市場の変化が加速する
VUCAの時代とはいつ何が起こるかわからないため、不安でマイナスの面を考えがちですが、大きな可能性を運んでくる時代でもあります。
コロナによって、在宅ワークが主流になったことからデスクチェアに重きをおく人達や、自宅時間が増えたことで、VODなどの動画市場も一気に規模が大きくなりました。
また、電通による2021年広告費割合の調査を見ると、2021年はインターネット広告が、マスコミ4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)を上回りました。
つまり、インターネット広告市場の規模が、マスコミ媒体よりも注目されているということです。
インターネット広告市場がマスコミなどの市場を上回ることは、予想されていましたが、それはまだ先のことでした。
VUCAの時代だからこそ、予想よりも早く到来し、市場規模が大きく成長してきています。
このように、成長はまだまだだと思われていた市場が急速に大きくなったり、これまで主力とされていた市場の花形が時代の変化によって別のものに置き換わってしまうということを予想できないのがVUCA時代です。
市場の変化に対応するためにも、常に市場の動向を確認することを忘れないようにしましょう。
VUCA時代に個人、企業に求められるもの
変化が予測できない不確定なVUCA時代に対応するためには、どのようなことをする必要があるのでしょうか。
個人と企業の視点から解説します。
個人に求められるもの
常に新しいことを学ぶという姿勢
以前までは、ビジネスで培った知識やノウハウを元にして仕事に取り組むことができました。
しかし、VUCAの時代ではこれまでの常識が通用しない出来事が発生することがあり、昨日まで出来ていたことが今日には出来なくなるということもあります。。
そのため、既存のノウハウや知識だけを大事にするのではなく、日々の情報収集やトレンドの分析などを日常的に行うことが重要になっていきます。
常に新しいことを学び続けるという姿勢が、VUCA時代に対応できていくでしょう。
決断と行動を素早く行うこと
いつ、何が起こるかわからないのがVUCA時代です。
そのため、これまで以上に物事に対しての決断と行動することが求められてきます。
しかし、一人では困難な判断や素早い行動が求められるからこそ、仲間と協力して取り組むことが非常に大切です。
周囲を巻き込んで、どのような決断と行動をするかを考えることで、時代に対応しながら生き抜く力が身につくでしょう。
企業に求められるもの
人材育成のあり方を変化させる
以前の日本では、終身雇用という考えのもと、社員を多少スキル等のミスマッチがあっても同じ部署に配置し続けて、従来通りに定年まで仕事をしてもらうというのが、当たり前の状況でした。
しかし、現在では多様な価値観や様々な経歴を持つ人を雇用することが、今日の社会常識として浸透しています。
様々な人材が集まる組織だからこそ、多様な価値観が形成されやすく、企業に変化を与えやすくなっています。
そのため、以前までの人材育成ではなく、新しい人材育成の形を見つけていくことが重要です。
リスクに備えて定期的に方向性の確認を行う
定期的に組織で方向性の確認や見直しを行うことは非常に重要です。
いつテロが発生したり、疫病が蔓延するかは誰にもわかりません。
そのようなリスクが発生してからでは、どのように対応するべきなのかわからず、すぐに対応するのは非常に難しいですよね。
そのため、企業として常に社会の情報を集めながら、どのようなリスクが存在しているのか、その対応はどうするべきなのか、リスクへの対応の方向性は十分検討できているかを定期的に行いましょう。
いざというときに日常的に備えておくことで、リスクを最小限にできます。
まとめ
VUCA時代である現代は、常に常識が変化しています。
昨日まで当たり前だったことが、今日には別の常識になっているということが現実に起こっています。
そんな変化が激しい時代だからこそ、個人は常に新しいことを学ぶ姿勢と決断と判断を素早く行うことが求められ、企業は時代に対応した人材育成のあり方とリスクへの対応に備えることが必要です。
いつ何が起こるかわからないVUCA時代を生き抜いていくためにも、情報のアンテナは常に最新のものにしておきましょう。