今回は、全国規模で展開しているナショナルブランド商品と、最近注目されているプライベートブランド商品について、その違いやメリット・デメリットについて説明していきます。
ナショナルブランドとは
ナショナルブランドとは、全国的に有名なメーカーが展開している商品のことを指します。
特徴は、全国どこでも買える商品のため認知度は高く消費者からの信頼度も高い点です。
また、テレビCMや広告などの宣伝活動も全国的に行うため、消費者の立場からは安心して購入できるという点もメリットとして挙げられます。
代表的なナショナルブランド商品は以下の通りです。
日清:カップヌードル
日清:サラダ油
大塚食品:ボンカレー
ハウス:ジャワカレー
雪印:北海道バター
明治:おいしい牛乳
味の素:ほんだし
キリン:キリン一番搾り
タカラ:本みりん
(参照:Wikipedia)
ナショナルブランドはプライベートブランドとの対比として扱われることが多く、「製造業者ブランド」「生産者ブランド」とも言われています。
一般的には、大量生産、大量販売が主流で、社名を冠した商品もあります。
ナショナルブランドのメリット・デメリット
続いては、ナショナルブランドのメリット・デメリットについて具体的に解説していきます。
ナショナルブランドのメリット
代表的なナショナルブランドのメリットは以下の通りです。
・消費者からの信頼度が高い。
・スーパーやコンビニでの取引や交渉において優位性を得やすい。
・消費者に対して満足度の高い商品を提供することで企業ロイヤリティの向上に繋がる。
・低リスクで商品をシリーズ化しラインナップの拡充が期待できる。
このように、消費者の満足度が高く、認知度が高いのが特徴です。
また、今まで培ってきた信頼や実績といった強い競争優位性を持っている点が大きなメリットとして挙げられます。
ナショナルブランドのデメリット
ナショナルブランドのデメリットは下記の2つです。
・プライベートブランドと比べ利益率が低くなる。
・他社製品との差別化が厳しい。
ナショナルブランドのデメリットは、全国的に販売されている商品が多いため、他のナショナルブランド商品が現れた時に競争が激しくなってしまう点です。
また、自社のナショナルブランド商品とプライベートブランド商品の双方で消費者を奪い合ってしまう場合もあります。
つまり、ナショナルブランドの商品を店舗に揃えすぎると、競合店舗と商品ラインナップが似たり寄ったりになってしまい、固定客の獲得やブランディングが難しくなる傾向にあります。
以上、ナショナルブランドのメリット・デメリットでした。
ここまで読むとナショナルブランドはプライベートブランドと比べるとメリットが少ないように思うかもしれません。
たしかに、他社との差別化や利益率で考えると、プライベートブランドの方がナショナルブランドに比べると、メリットは大きいです。
しかし、知名度の高さや顧客からの信頼度、市場規模を考えるとプライベートブランドだけで市場を戦い抜くというのは困難であるといえます。
ナショナルブランドとプライベートブランドの違い
ナショナルブランドに対して最近注目を集めているのがプライベートブランドです。
それではその定義とメリット・デメリットを解説していきます。
プライベートブランドとは
プライベートブランドとは、スーパーやコンビニエンスストアなどの小売業者や卸売業者が独自開発しているブランドです。
他の呼び方で「ストアブランド」「自主企画商品」と呼ばれることが多く、1990年代から食品や日用品を中心に展開され始めました。
例えば、コンビニエンスストアでよく見かける「セブンプレミアム(セブンイレブン)」「お母さん食堂(ファミリーマート)」「ウチカフェ(ローソン)」などが該当します。
その他にも以下の商品が該当します。
イオン:トップバリュセレクト
マツモトキヨシ:和サプリ
デイリーヤマザキ:良味100選
カインズ:@HOME、CAINZ
肉のハナマサ:プロ仕様
マルエツ:maruetsu365
キリン堂:WELL-US
しまむら:CLOSSHI
(参照:Wikipedia)
また、生産に関しては「OEM」の形式を取り、メーカーに委託し自社ブランドとして売り出す場合もあります。
大きな特徴としては、低価格帯で提供することが可能で、店頭でのお買い得商品として訴求販売するケースが多く、小売店と消費者の距離を縮める効果があります。
一方で「知名度」といった点ではナショナルブランドに比べるとどうしても劣ってしまいます。
それではプライベートブランドのメリット・デメリットについて具体的に説明していきます。
プライベートブランドを導入するメリット
・仕入れ原価が低く高い利益率の商品が販売できる。
・消費者のニーズに沿った商品をダイレクトに開発できる。
・独占販売が可能なため消費者の囲い込みが可能。
メーカーが主体的に展開している商品(ナショナルブランド)は、市場やトレンドの変化により販売数が変動しやすく売上が伸び悩む傾向にあります。
しかし、小売業者が独自開発を行うプライベートブランド商品は、一定の販売数や売上が見込めるため、効率的な生産が可能となり、コスト削減に繋げることができます。
プライベートブランドのデメリット
・自社で独自開発するため売れ残った場合、大量の在庫を抱える場合がある。
・自社開発しているため商品の品質管理は自己責任。
・認知度が上がるまで時間がかかる。
小売業者がプライベートブランドを独自開発していくことで、企業のナショナルブランド商品の売上が減少し、提供できる商品の幅やラインナップが狭くなる可能性があります。
また、大量の在庫を抱えてしまう危険性もあるため、販売側との関係性を慎重に行う必要があります。
そして、ナショナルブランドに比べ認知度が上がるまで時間がかかる点もデメリットとして挙げられます。
ナショナルブランドとプライベートブランドの違い
全国的に有名なメーカーが全国規模で販売しているナショナルブランドに対し、プライベートブランドは自社独自のオリジナルブランドです。
その大きな違いは商品の開発母体です。
ナショナルブランド商品は、メーカー自らが企画開発し、自社で考案したブランド名で販売します。
また、プライベートブランドの商品は、卸売業者や小売業者が主体となり企画開発し、卸売業者や小売業者がつけたブランド名で販売するのが一般的です。
これまでの企業は、自社の強力なナショナルブランドの影響力で市場を押さえようとしてきました。
しかし最近は、高い利益率を見込めるプライベートブランドの商品を開発する卸売業者や小売業者が増えてきています。
とはいえ、プライベートブランドを扱う小売業者もナショナルブランドの商品を扱っていますし、メーカーと小売業者がタイアップした共同商品もあります。
つまり、ナショナルブランドもプライベートブランドも、どちらが良いというモノでなく、双方のメリット・デメリットを踏まえた上で自社商品のブランド化を進めていく必要があります。
まとめ
今回は全国規模で展開しているナショナルブランド商品と、最近注目されているプライベートブランド商品について、その違いやメリット・デメリットについて説明してきました。
全国的に展開しているナショナルブランドも、1990年代から普及し始めたプライベートブランドの台頭でシェア率が下がってきているのが実情です。
その背景には以下の要因が挙げられます。
・不況による価格競争の激化。
・技術革新による品質の向上。
・FC化や企業統合など小売店の交渉力の向上。
これらの要因により、プライベートブランドは価格は安いものの、大手メーカーが出すナショナルブランドと同等の品質や性能を備えることで、消費者の注目を集め始めてきています。
実際のところ、企業側だけでなく消費者やメーカー側にもメリットがあるため、現在では、多くの企業がプライベートブランドを展開しています。
一方で、在庫リスクや品質管理、メーカーとの調整などが難しくなるなどのデメリットも存在するため、ナショナルブランドとプライベートブランドのどちらを主力商品としてラインナップすべきかは、それぞれのメリットとデメリットを比較検討した上で決めると良いでしょう。