「SDGsに取り組むことで自社にとってメリットはあるのかわからない」
「中小企業におけるSDGsのデメリットを知りたい」
このように、SDGsに取り組むメリットがわからず、実行に移せていない企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、企業がSDGsに取り組むメリットやデメリットについて詳しくご紹介します。
マイナス面についても知ることで、多角的にSDGsを理解しましょう。
企業がSDGsに取り組む5つのメリット
まず企業がSDGsに取り組む5つのメリットについてご紹介します。
- 企業価値の向上
- ステークホルダーとの関係性向上
- 新しいビジネス機会の創出
- 資金調達が有利になる
- 優秀な雇用創出
それでは一つずつ見ていきましょう。
メリット①:企業価値の向上
企業がSDGsに取り組むメリットの1つ目は「企業価値(ブランド力)の向上」が挙げられます。
実際、「日本の人事部」によると、SDGsに取り組む理由の6割が「ブランディング効果が期待できるから」と回答しているそうです。
また、コーヒーで有名なネスレ社では、「キットカット」のパッケージをプレスティック製から紙素材へ変更し、環境に配慮した企業であることを広く認知させることに成功しています。
SDGsに取り組むことで、「社会的責任を果たしている優良企業」「環境に配慮する先進的な企業」といったように、社会からポジティブに評価されるメリットがあります。
メリット②:ステークホルダーとの関係性向上
企業がSDGsに取り組むメリットの2つ目は「ステークホルダーとの関係性向上が期待できること」と言えます。
ここで、ステークホルダーとは、株主や顧客、取引先など自社に関わる利害関係者のことを指します。
実際、おもちゃリサイクルにて3R(リユース・リデュース・リサイクル)を積極的に薦めている「マクドナルド」は、川崎市と昭和電工株式会社と共同し、おもちゃをデリバリー用の燃料に変える取り組みを始めています。
マクドナルドの例のように、今後ますますSDGs達成を目的とした他社との協業が加速していくと予想されます。
SDGsに取り組み、取引先や株主との関係性が向上することで、新しいビジネスや雇用にも繋がるでしょう。
メリット③:新しいビジネス機会の創出
企業がSDGsに取り組むメリットの3つ目は「新しいビジネス機会の創出」です。
例えば、IT最大大手である「NECネッツエスアイグループ」では、不二製油に対してコロナ禍での在宅ワークをサポートし、持続可能な働き方を提供しています。
また、音楽メーカーの「YAMAHA」では、政府教育機関と協業して楽器を楽しんでもらうためのプログラムを提供し、楽器を用いた教育を広める活動に貢献しています。
上記の例のように、日本の多くの企業において、SDGs活動が新しいビジネスを生み出すきっかけとなっています。
メリット④:資金調達が有利になる
企業がSDGsに取り組むメリットの4つ目は「資金調達が有利になる」ことが挙げられます。
SDGsに取り組んでる企業は、ESG投資による資金調達を有利になる可能性が高いと言えます。
ここで、「ESG投資」とは、環境(Environment)と社会(Social)、管理体制(Governance)の3つの観点から投資することを指します。
実際、「SMBC日興証券」の取扱ファンドの中には、「アライアンス・バーンスタイン・グローバル・グロース・オポチュニティーズ(GGO)」と呼ばれる、SDGsとESGの観点から選別された企業投資ファンドがあります。
プレスティック製品撤廃や3R推進など環境問題や、女性の雇用促進やテレワークなど社会面の課題解決に対して行動することで、SDGsを通じて投資価値の高い優良な企業としてアピールできます。
メリット⑤:優秀な雇用創出
企業がSDGsに取り組むメリットの5つ目は「優秀な雇用の創出」と言えます。
例えば、DISCOの「就活生の企業選びとSDGsに関する調査(2020年8月)」より、就職先企業を選んだ基準を社会貢献度が高いからと答えた学生が最も高く、25%以上の学生がSDGsの取り組みを参考にしていると報告しています。
また、SDGsの認知度について「詳しく知っている」学生と「ある程度知っている学生」を合わせると、75%以上を超えています。
DISCOの報告内容より、SDGsを積極的に行なっている企業を選ぶ学生が増加していくと予想できるでしょう。
さらに、2017年のダボス会議にて、「2030年までにSDGsによって3億8000万人分の雇用を創出する機会が生まれる」という衝撃的な発表がありました。
近い将来、優秀な人材を雇用するためにはSDGsの取り組みが重要になると言えます。
企業がSDGsに取り組むデメリットは?
次に、企業がSDGsに取り組む際のデメリットについてもご紹介します。
- コストがかかる
- SDGsウォッシュによる批判
- 従業員のモチベーション低下につながる可能性がある
デメリットについて理解することで、今すぐに自社へ取り入れるべきか判断できるでしょう。それでは一つずつ丁寧に解説していきます。
デメリット①:コストがかかる
企業がSDGsに取り組むデメリットの1つ目は「コストがかかる」ということが挙げられます。
具体的には、SDGs活動チームやSDGsに伴う商品・サービスの提供など、SDGsを成功させるためには多大なコストがかかります。
また、現段階から2030年を目処にSDGsを取り組む場合、どうしても短・中期的な目標になってしまうので、長期的な活動を前提とするのも大事と言えます。
中小企業でSDGsを始める場合は、社会貢献の面だけでなく利益や売上につながるSDGsに取り組むようにしましょう。
デメリット②:SDGsウォッシュによる批判
企業がSDGsに取り組むデメリットの2つ目は「SDGsウォッシュによる批判がくる可能性がある」ということです。
ここで、「SDGsウォッシュ」とは、実態が伴っていない見せかけのSDGs活動のことを指します。
有名な例では、「UNIQLO」が環境への負荷を減らした良い服を作ることをコンセプトにしている一方で、ウイグル産の綿を使うためにウイグル人を強制労働させていたのではないかという疑いがありました。
UNIQLOの例にもあるように、上辺だけのSDGsでは企業の価値を低下させてしまう可能性もあります。
「活動実績が大してないのにSDGsを取り組んでいる」「具体的なSDGsの取り組みを行なっていないのに補助金だけ受け取っている」など、中小企業にありがちなSDGsウォッシュには十分注意しましょう。
デメリット③:従業員のモチベーション低下につながる可能性がある
企業がSDGsに取り組むデメリットの3つ目は「従業員のモチベーション低下につながる可能性が高くなる」ということです。
ボランティア活動等でSDGsを推進しようとするあまり本業が疎かになり、従業員のモチベーション低下につながる可能性があります。
そうならないためにも、SDGs活動を推進する際には、あらかじめ従業員に理解してもらう機会を設け、本業に影響が出ない範囲で取り組みましょう。
まとめ
今回は、企業がSDGsに取り組む際のメリットやデメリットについて解説してきました。
企業がSDGsに取り組むことで、企業ブランドの向上やビジネスチャンス、優秀な雇用を創出することに繋がるなどと、さまざまなメリットを享受できます。
ただし、SDGsはうまく実行しないと、大幅に費用が掛かるだけでなく従業員のモチベーション低下に影響が出る可能性もあります。
本記事のメリット・デメリットを参考に、自社で今すぐSDGsに取り組むべきか検討してみてはいかがでしょうか。