社内外から信頼を得られるパーパスブランディング

パーパスブランディングを事例含めてマルっと解説!

パーパスブランディングとは?

パーパスブランディング(Purpose Branding)とは、日本企業の間では「企業やブランドの存在意義」という意味合いで扱われることの多い経営戦略やブランディングに用いられる用語です。

つまり「ブランドの存在意義」を示し、それを発信していくことによってブランドへの理解と共感を得ようとする考え方です。

しかし、実はこの考え方、日本の企業にとってそこまで新しい概念ではありません。

これまでも、「世の中に対してどのような存在意義を示しているのか?」を明確にしてきた企業はたくさんあります。

そのため、いまいち、今までのブランディングと何が違っていて、何が新しい考え方なのか、というのが分かりにくいというのも事実です。

パーパスブランディングがなぜ注目されるのか?

Facebook創業者マーク・ザッカーバーグ氏は「パーパス」について以下のように述べています。

“Purpose is that sense that we are part of something bigger than ourselves, that we are needed, that we have something better ahead to work for. Purpose is what creates true happiness.”

「目的(パーパス)とは、自分という存在を超越した、何かより大きなものの一部である意識をもてる感覚のこと。自分という個性が必要とされていて、自分がコミットすることである事象がよりよくなることです。目的(パーパス)は、本質的な幸福感をもたらします」

参考:https://www.rarejob.com/englishlab/column/20170624/

つまりビジネスに当てはめると、パーパスブランディングとは、人々の生活をより良いものにするという社会的な存在意義を通じて、ブランドが成長し続けるための方法です。

また、事業における基盤であり、ブランドが消費者にとって有意義で欠くことのできない存在となるための核なのです。

これまで、日本企業はブランディングやマーケティングを大衆向けに行っていましたが、時代の流れにより「個人」のライフスタイルや価値観に合わせてブランディングを行うようになってきました。

そして、モノが溢れコモディティー化が進む現代においては、「社会に貢献する」という新たな価値観が求められるようになりました。

「商品やサービスを通してどういう価値を社会に提供するのか?」

この視点はかなりのスピードで広がってきています。そして、この時代の流れの中で、「パーパスブランディング」という「社会的意義のあるブランド」という考え方が言語化され出てきたのではないかと考えられます。

パーパスブランディングとブランディングの違い

前述の通り、今までの日本企業はブランディングやマーケティングを大衆向けに行っていましたが、時代の流れにより「個人」のライフスタイルや価値観に合わせてブランディングを行うようになりました。

これは価値観が多様化し、選択の自由度が増している現代において、マス(大衆)向けへブランド価値を発信しても一部の顧客にしか届かなくなってきたことが考えられます。

このことから、よりパーソナライズされた「個人」に対してダイレクトにブランドメッセージを届けることで商品やサービス、ブランドへの認知と興味・関心を起こしてきたのが従来のブランディングです。

一方のパーパスブランディングは「商品やサービスを通してどういう価値を社会に提供し、存在意義を示していくのか?」という軸でブランディングを行っていきます。

よって、非営利な活動になってしまう部分も少なからずあります。

つまり、パーパスブランディングは、よりパーソナライズされた「個人」に対して集中的に行う従来のブランディングとは違い、社会全体を通して「社会的な存在意義」を明確にし長期的な視点で広くブランドが持つ価値提供を実現してくものだと言えます。

中小企業に今「パーパスブランディング」が求められる理由

ブランディングにおいて「パーパス」の重要性が増している1つの背景として、「社会問題に対する意識の高まり」が挙げられます。

SNSをはじめ、情報交換手段が発達したことにより、社会問題に対する人々の反応が可視化されるようになりました。

その結果、「今、世界で何が問題になっているのか」ということに対して、人々はこれまで以上に当事者意識を抱くようになったと考えられます。

また、新型コロナウイルス感染拡大も合間って、ブランドの存在意義(パーパス)を改めて見つめなおし、再発信する企業が増えてきています。

特に中小企業の存在価値は、既に広く認知されている大企業に比べ弱い立場であることは明白です。

そのため、顧客や市場の中でどのような存在として価値を提供するポジションにいるのかを明確にし、そのための品質向上やサービス展開、ひいては、SDGsやCSR活動を推進し世間にPRすることが重要になります。

これからさらに多くの企業が社会的なパーパスを表明していくと予想されますが、パーパスと実情が乖離してしまえば、かえって企業への不信感が募ることになります。

さまざまな問題に対して社会的スタンスを示すにあたり、「その問題と自社との関連性」を曖昧にせず、「自社の事業がどのように問題に関わるのか」を具体的に示していくことで、中小企業であっても「市場における位置づけ、存在意義」を明確化することができます。

パーパスブランディングに取り組む時のポイント

新型コロナウイルス感染拡大により半ば強制的にオンライン化・デジタルシフトを行っている中で企業のパーパスは、その必要性の高まりが加速、本質化していくのではないかと考えられます。

そして、そのような変化が目まぐるしい情勢の中で、企業の社員一人ひとり が自律的に行動し、社会的価値の高い企業・ブランドを目指していくためには、平常時から自社の「パーパス」にコミットする必要があります。

特に社員一人ひとりに浸透させるためには以下の4つのチャレンジが必要となります。

  • VISIONに込めた想いをブランドに表現する
  • 新ブランドの立ち上げを胸を張って発信する
  • ブランド適用範囲と運用ルールを明確にする
  • 社員一人ひとりの行動意識に変革をもたらす

ブランドとして表現するには、様々なステークホルダーを巻き込んで対話の中で生まれた想いを抽出(言語化)する必要があります。

そして、その「想い」を社員一人ひとりが自覚し行動に移していくことで効果的なブランディングを実行することができます。

特にインターネットが普及した現代社会では「そのブランドは、生活者に対して何を約束してくれるのか」という、機能や利便性を超えた、信頼そのものが求められています。

今までの「何をやるか?」という一方的な営利活動でなく、「なぜ我々がやるのか?」「なぜそれをやるのか?」「なぜ今やるのか?」といった、自社の存在意義を社員一人ひとりが明確にしていく視点こそがパーパスブランディングの効果を最大化させるポイントとなります。

パーパスブランディングの事例と併せて解説!

ここまでパーパスブランディングの概念を中心に説明してきました。

しかし、「社会的な存在意義の言語化」と言われてもいまいちイメージできないと思いますので、各企業のブランドメッセージを紹介します。

TOYOTA|未来のモビリティ社会をリードする。

TESLA|持続可能なエネルギーへの世界レベルでの移行を加速させる。

GOOGLE|世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする。

Amazon|地球上でもっともお客様を大切にする企業であること。

SONY|クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。

P&G|現在そして未来の、世界の消費者の生活を向上させる。

Coca-Cola|コカ・コーラ独自のおいしさを通じて、楽しい時間や空間を共有し、世代や人種を超えてさまざまな人を繋ぐこと。

Patagonia|私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。ビジネスを手段として、環境危機へのより良い解決策を実行していく。

上記の通り、各社とも自社の存在意義を明確にしている事が分かります。

そして、パーパスブランディングを明確に打ち出すことにより、ステークスホルダー全てを共感させ、誰もが「応援したくなる企業」になることで、他にはない唯一無二の企業を目指すことができます。

まとめ

今回は「パーパスブランディング」をテーマにその概要や取り組む際のポイントを説明しました。

実際にヨーロッパなど諸外国の企業では、パーパスという概念は当たり前のように設定されています。

むしろパーパスや理念がない企業は「ビジネスとはいえない」と言われるくらいです。

しかし、日本の中小企業にはそこまで浸透していないのが実情です。

なぜなら、これからパーパスブランディングを始めようとすると、社員一人ひとりの理解と協力が必要となり、相当なリソースと時間が必要となってしま うといった点と、非営利に近い施策のため、短期的な結果を求める企業にとってはどうしても後回しになりがちなため、体質の古い中小企業ではなかなか施策が進まないのが現状です。

とはいえ、今の時代が企業に求める社会的な存在意義を示す「パーパスブランディング」は今後ますます必要になってきますので、まずは本記事を参考に自社の「存在意義」言語化から始めてみてはいかがでしょうか。

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