SDGsの特設コーナーを設けている場所や、スーツにカラフルなロゴのピンパッジを身に付けている人を見かけたことはありますか?
近年では、日本でもSDGsに取り組んでいる企業や団体が増えてきましたが、まだまだSDGsのロゴの意味や使用方法を知らない企業は、あるでしょう。
そこで、今回の記事ではSDGsのロゴに込められた意味や、ロゴ使用時の許可の有無。
使用時の注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
SDGsで掲げられた17の目標とは
ロゴについて触れる前に、SDGsの17の目標について先に説明します。
SDGsには、17個の目標があり、それぞれには人権、経済・社会、地球環境、さまざまな分野にまたがった課題が、分類されています。
その目標、課題について下記にまとめてみました。
1.貧困をなくそう
地球上のあらゆる形の貧困をなくそう。
2.飢餓をゼロに
飢えをなくし、だれもが栄養のある食料を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守り続けながら農業を進めよう。
3.すべての人に健康と福祉を
だれもが健康で幸せな生活を送れるようにしよう。
4.質の高い教育をみんなに
だれもが公平に、良い教育を受けられるように、また一生に渡って学習できる機会を広めよう。
5.ジェンダー平等を実現しよう
男女平等を実現し、すべての女性と女の子の能力を伸ばし可能性を広げよう。
6.安全な水とトイレを世界中に
だれもが安全な水とトイレを利用できるようにし、自分たちでずっと管理していけるようにしよう。
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人が、安くて安全で現代的なエネルギーをずっと利用できるようにしよう。
8.働きがいも経済成長も
みんなの生活を良くする安定した経済成長を進め、だれもが人間らしく生産的な仕事ができる社会を作ろう。
(2025年までに、子どもの兵士をふくめた、働かなければならない子どもをなくそう)
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
災害に強いインフラを整え、新しい技術を開発し、みんなに役立つ安定した産業化を進めよう。
10.人や国の不平等をなくそう
世界中から不平等を減らそう。
11.住み続けられるまちづくりを
だれもがずっと安全に暮らせて、災害にも強いまちをつくろう。
12.つくる責任 つかう責任
生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、責任ある行動をとろう。
13.気候変動に具体的な対策を
気候変動から地球を守るために、今すぐ行動を起こそう。
14.海の豊かさを守ろう
海の資源を守り、大切に使おう。
15.陸の豊かさも守ろう
陸の豊かさを守り、砂漠化を防いで、多様な生物が生きられるように大切に使おう。
16.平和と公正をすべての人に
平和でだれもが受け入れられ、すべての人が法や制度で守られる社会をつくろう。
17.パートナーシップで目標を達成しよう
世界のすべての人がみんなで協力しあい、これらの目標を達成しよう。
(参考ページ:公益財団法人日本ユニセフ協会「SDGs 17の目標」
参照URL:https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/
目標の1〜6は、最も初歩的な、基本的人権や生活水準についての内容です。
発展途上国におけるゴールだと考えられがちですが、日本においても相対的貧困の問題や、ジェンダーに対する不平等があります。
目標の7〜12は、企業などの経済活動において、人にも地球環境にも優しい活動を目指そうとするものです。
こちらの目標も先進国、発展途上国問わずに達成を目指すべきものになっています。
目標の13〜17は大きく2つに分かれた内容です。
上から3つは地球の環境に対する具体的な行動を示しています。
残り2つは、ゴール達成のために平和と協力の必要性を表す目標です。
SDGsのロゴに込められた意味
SDGsのロゴの概要を知るために、理解するべきポイントは3つです。
・ロゴのデザインが生まれた背景と担当者の想い
・SDGsのロゴは2種類ある
・SDGsの17色の円形デザインについて
それぞれについて説明していきます。
ロゴのデザインが生まれた背景と担当者の想い
SDGsロゴのデザインが生まれた背景について、デザインを考えたヤーコブ・トロールベックさんは「SDGsの取り組みを、とにかくシンプルな言葉やデザインにする事で行動に移して欲しい」とコメントしています。
SDGsには、17の目標と169の課題が設定されており、文字にすると非常に膨大で複雑です。
そのため、行動に移すというところに重点を置いたことにより、非常にシンプルでわかりやすいデザインとなっています。
SDGsのロゴは2種類ある
SDGsのロゴは、「国連主体向け」と「非国連主体向け」の2種類が存在します。
国連主体向け:国連エンブレム付きSDGsロゴ(バージョン1)
非国連主体向け:国連エンブレムのないSDGsロゴ(バージョン2)
基本的に、国連主体向けのロゴを企業が使用することは出来ません。
企業は、国連のエンブレムがない、非国連主体向けのロゴを使用することになります。
SDGsの17色の円形デザインについて
SDGsのロゴは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の文言をロゴにしたもので、GOALSの「O」には17色が円形に配置されたカラフルなデザインです。
このロゴの17色は、SDGsの17の目標と同じ色を使用しており「SDGsカラーホイール」と呼ばれています。
ロゴには、縦型と横型の2パターンがあり、それぞれにカラー版と白黒色版があります。
加えて、ロゴのデザインが円形なのは、デザインを担当されたヤーコブ・トロールベックさんの「すべての目標が1つになり、統合されている印象を与えられる太陽のような形状にしたかった」という想いが、込められています。
ロゴやアイコンを使用したい場合の注意点
SDGsのロゴや、17の目標に使われているアイコンは、国連広報センターのホームページからダウンロードが可能です。
しかしながら、使用する際には、「資金調達」「商業目的」「情報提供」の3つの目的別に、許可の有無や使用する際の注意点が変わってくるので、必ず確認しておきましょう。
資金調達が目的の場合
資金調達を目的とした使用とは、ガイドラインで「SDGsを支援する活動の費用を賄うための資金の調達を意図する使用」と明記されています。
つまり、SDGsを広める活動をしたいと思っているが、活動資金がなく、それを解決するためにロゴを使用する場合です。
この場合は、国連への許可が必要になり、承認されるとライセンス契約を結べますので、その後からSDGsロゴ・アイコン・ホイールを利用できます。
そして、資金調達目的の場合、SDGsロゴ・バージョン2(非国連主体向けのもの)、SDGsカラーホイールおよび17のSDGsアイコンは、1つのまとまりとして使用します。
非国連主体ロゴ(企業のロゴ)とSDGsロゴ、SDGsカラーホイール、17のSDGsアイコンのいずれか1つ、複数と組み合わせる場合には、非国連主体ロゴの方を大きくし「(主体名/私たち)は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています」との文言を添える必要があります。
商業が目的の場合
商業を目的とした使用とは、ガイドラインで「SDGsをさらに広めるための営利主体による、または、商業的もしくは販促用商品および/もしくは製品における使用」と明記されています。
つまり、SDGsロゴを使用した商品を販売するときには、申請と許可が必要となります。
申請するにあたり、ロゴの使用用途がSDGsの精神と目的、およびガイドラインで定める要件に対してどのように合致するのか、持続可能なビジネスの実践と持続可能な素材の利用について、説明する必要があります。
加えて、バージョン2、SDGsカラーホイールおよび17のSDGsアイコンの販促用商品、または製品への使用を申請する場合、SDGsとどのように整合するのかを具体的に明記しなければなりません。
なお、資金調達・商業目的ともに、SDGsロゴ・バージョン2、SDGsカラーホイールおよび17のSDGsアイコン使用許可を申請する場合には、SDGpermissions@un.org宛に、件名をすべて大文字で「SDGLOGO/ICON REQUEST」としたメッセージを送信しましょう。
この時、申請のためのメールは件名・本文ともに、全て英語で提出する必要があります。
情報が目的の場合
情報を目的とした使用とは、ガイドラインで「主として例示的かつ非商業的で、資金調達を意図しない使用」と明記されています。
使用許可の申請の有無は、ロゴを介した金銭のやり取りが発生しないのが条件です。
プレゼンテーションや社内報、非財務報告または年次報告その他、自社の SDGs 関連活動などの会社資料のためなら、事前許可を取る必要がありません。
(参考ページ:国際連合広報センター「SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン」
参照URL:https://www.unic.or.jp/files/SDG_Guidelines_AUG_2019_Final_ja.pdf)
SDGsロゴを使用する際の注意点
SDGsロゴを使用する際、企業イメージや広告イメージに合うようにとSDGsロゴの色や形、文字の種類や背景を加工するのはすべて禁止されています。
国際連合広報センターにて規定のものが用意されているので、ダウンロードしてから使用するようにしましょう。
SDGsロゴと17のアイコンの使用期間は、2030年12月31日までと決められています。
国連が、一般的または特定的な通知により別途連絡しない限り、カラーホイールを含むSDGsロゴと17のアイコンは、2016年1月1日から2030年12月31日まで使用可能です。
ただし、カラーホイールを含むSDGsロゴと17のアイコンは、 SDGsに関する刊行物との関連であれば、2030年12月31日以後も使用することができます。
(参考ページ:国際連合広報センター「SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン」
参照URL:https://www.unic.or.jp/files/SDG_Guidelines_AUG_2019_Final_ja.pdf)
加えて、SDGsの17の目標に使われているカラーリングは使用可能なため、独自のシンボルロゴを作成するのは問題ありません。
まとめ
SDGsは、1人1人が当事者意識を持ち、世界の目標として理解しなければなりません。
近年では、ニュースや新聞でSDGsという言葉を耳にする機会が増えたことで、新たなSDGsに取り組み始めた企業や自治体も増えてきています。
もし、あなたの会社でもSDGsへの取り組みを始めることになった際には、ロゴの使用方法や注意点などは、企業として知っておく必要があるでしょう。