ライフサイクルアセスメントとは?実例を併せて解説!

  • 2022年12月25日
  • 2022年12月25日
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昨今では、「SDGs」や「サステナビリティ」「カーボンニュートラル」などの用語が、

メディアなどで度々登場します。

それぞれ厳密な意味は知らずとも「なんとなく環境によい」という程度の認識である用語も少なくないでしょう。

そのような中で、企業が一連の営業行為の中で、環境に与える負荷を総合的に判断する指標があります。

これを「ライフサイクルアセスメント」と呼びます。

この記事では、「ライフサイクルアセスメント」とは何か、そしてライフサイクルアセスメントの実践事例について解説します。

ライフサイクルアセスメントとは?

ライフサイクルアセスメントとは、商品やサービスにかかわる環境負荷を定量的に算定するための手法です。

ライフサイクルアセスメントという指標が重要視されるのは、算定方法に特徴があるためです。

その特徴とは、ライフサイクルアセスメントは、製品の製造時にかかる環境負荷だけではありません。

商品・サービスの原料の調達・生産・流通・廃棄・リサイクルという一連の「ライフサイクル」を通じての環境負荷を算定することにあります。

このライフサイクルアセスメントは「LCA(Life-cycle assessment)」とも略され、かつては「環境アセスメント」と呼ばれる概念が主流でした。

しかしながら「環境アセスメント」は、主に大規模開発などによる環境への影響予測・影響評価が主であったことに対して、ライフサイクルアセスメントは、個別商品のライフサイクル(各段階)における環境負荷の評価を主題としています。

加えて、部品・素材などのように環境への負荷を評価しやすい「製品」の環境負荷だけではなく「人ひとりを○km移動させるサービス」など、サービス単位での環境負荷を測定することもできるという特徴があります。

企業活動や人類の活動における「持続可能性(サステナビリティ)」や「SDGs」と呼ばれる概念が重視される現代社会においては、このライフサイクルアセスメントは非常に重要な指標として扱われています。

ライフサイクルアセスメントの基礎を築いた企業の実例とは?

この「ライフサイクルアセスメント」は近年注目される概念ですが、その萌芽といえる出来事の歴史は古く、1969年の出来事がそのきっかけであったとする評価があります。

この出来事は、アメリカの現フランクリン研究所(当時のミッドウェスト研究所)にて、コカ・コーラ社が行ったもので、リターナブル瓶と飲料缶における環境負荷評価を行ったというものでした。

このことが、現代におけるライフサイクルアセスメントの基礎となったとする評価があります。

その後、1972年には同様に飲料容器における製造エネルギー評価がイギリスで行われるなど、製品と環境との関係が論じられる機会が多くなりました。

もっとも、この頃にはまだ「ライフサイクルアセスメント」という用語そのものは存在せず、かわりに「REPA(Resource and Environmental Profile Analysis)と呼ばれる研究が進められていました。

ライフサイクルアセスメントの直接の基礎となる研究としては、1984年に行われた、スイスの「ミグロス」が国・チューリッヒ工科大学との共同で包装材料についての研究を行ったものが挙げられます。

その他にも、1996年には、スウェーデンの環境研究所と、自動車ブランド「ボルボ」が環境負荷の経済評価手法を開発したという実例があります。

業界大手企業のライフサイクルアセスメント事例

先の項目では、スウェーデンの自動車ブランドであるボルボを実例として解説しましたが、日本国内での大手自動車メーカーであるマツダ株式会社では、2009年からライフサイクルアセスメントを活用して研究を進めています。

自動車業界においては、従来のガソリンエンジン車と、新時代の自動車の様式である電気自動車とのそれぞれの環境負荷が注目を集めることが多くあります。

しかしながら、マツダ車はこのガソリンエンジン車と電気自動車とのそれぞれで、製造・使用・廃棄という一連のライフサイクルにおけるCO2の排出量を研究し、比較検討した研究を発表しています。

加えて、電気機器メーカーとして大手のキヤノン株式会社でも、「LCA開発マネジメントシステム」として、ライフサイクルアセスメントの手法を導入しています。

キヤノンで行われているLCA開発マネジメントシステムは、製品の開発から情報公開までを一貫した体制で管理するというシステムであり、環境負荷の削減や研究に対して積極的に取り組んでいる姿勢がうかがえます。

加えて、特に温室効果ガス・CO2に対する意識も高く、経済産業省が推進している「カーボン・オフセット制度」も活用し、温室効果ガスの削減活動にも貢献する取り組みを継続しています。

その他のライフサイクルアセスメント事例

これまでの解説では、自動車メーカーや大手電気機器メーカーなど、比較的業界でも規模の大きな企業をピックアップしましたが、企業の規模を問わず、その業界にマッチする方法でライフサイクルアセスメントを導入する企業は増えています。

例えば食品業界では、原料や商品の生産・輸送、商品の調理・保管、廃棄物の処理などにフォーカスしてCO2の削減や、環境負荷に配慮したライフサイクルを検討するという取り組みが行われています。

他にも、アパレル業界では、プラスチックや石油を必要とする合成素材を、リサイクル素材や植物由来の素材などに置き換える動きも現代では試みられています。

これらの事例から読み取れることは、ライフサイクルアセスメントは必ずしもCO2削減・カーボンニュートラルだけに、特化した考え方ではないということです。

もちろん、CO2削減もライフサイクルアセスメントの重要なポイントのひとつであることは間違いありません。

しかしながら、ライフサイクルアセスメントの重要ポイントは「CO2を含めた、商品・サービスすべてにおける総合的な環境負荷」を考える枠組みであると考えると、理解しやすいでしょう。

CO2のみに特化した考え方では「自社はライフサイクルアセスメントには関係がない」と考えてしまいそうな業界もあります。

しかしながら、上に例示したように、一見CO2とはあまり関わりがないかに思えるアパレルや飲食といった業界においても、ライフサイクルアセスメントの取り組みは行われているのです。

企業に対するライフサイクルアセスメント支援事例

このように、企業におけるライフサイクルアセスメントは社会的な注目度が高まっているという現状があります。

そのため、こうしたライフサイクルアセスメントをコンサルティングするサービスや企業といったものも登場しています。

具体的には、商品・サービスが提供される際に排出されるCO2・環境負荷をどのように測定するかといった方法・技術の提供や、従業員・管理職向けに、ライフサイクルアセスメントを実施するための用語や理念などを検収するサービスなどが挙げられます。

こうした取り組みは、企業の経営者が意識するだけでは実現できませんし、反対に、現場の従業員だけの意識でも実現は難しい課題であるといえます。

全社を挙げてライフサイクルアセスメントに取り組むという場合には、経営陣・管理職・従業員が一緒にこうした検収を受け、共通認識を築くことが第一歩であるといえるでしょう。

まとめ

企業におけるビジネスは、もはや単なる「商売」としてだけではなく、「社会の一員」として振る舞うことが求められています。

企業のビジネスが環境に与える影響というのも、こうした視点から派生したものであるといえます。

ライフサイクルアセスメントは、製品やサービスの製造だけではなく、調達から生産・流通・販売、そして廃棄という、本当の意味で「最初から最後まで」の環境負荷を認識するものです。

ライフサイクルアセスメントは、社会の一員として、この社会で営業を行う企業にとっては、今後関わりを避けてはいられない重要なポイントであるといえます。

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