人材ポートフォリオとは
人材ポートフォリオとは、企業に必要な人材のタイプを分析するためのツールです。
人材ポートフォリオを用いて、どんなタイプの人材が必要なのか、今どんなタイプの人材がどこにどれだけいるのかを分析します。
適材適所を徹底し、企業の業務効率をアップさせるために用いられるのが人材ポートフォリオです。
人材ポートフォリオが必要とされる背景
人材ポートフォリオが必要とされる背景には、主に働き方改革による働き方の多様化が挙げられます。
女性の社会進出や終身雇用の崩壊、雇用形態の多様化、また新型コロナウイルス流行による在宅ワークの推進など、企業を取り巻く環境は常に変化しつつあります。
そんな中で、企業は周囲の環境の変化に合わせた人材マネジメントを行うことが、必要になりました。
人材ポートフォリオを作成することで、今どのような人材がどこにどれだけいるのかを把握し、更にどのような人材を追加する必要があるのか分析することで、生産性の向上を図ります。
人材ポートフォリオのメリット
人材ポートフォリオには以下のようなメリットが挙げられます。
- 最適な人材配置ができる
- 人材の過不足が把握できる
- 従業員のキャリアアップが図れる
最適な人材配置ができる
人材ポートフォリオを作成することで、従業員の強みや志向に合わせた人材配置をすることが、できるようになります。
最適な人材配置をすることで、業務効率と生産性を向上させることが、可能となります。
加えて、従業員は自分に適した部署に配属され、適した業務に関われるようになるので、モチベーションを維持・向上させることができ、離職率の低下に繋がります。
人材の過不足が把握できる
人材ポートフォリオを作成すると人材の過不足が、把握できます。
人材の過不足が把握できれば、採用や育成でどのような人材を確保すればいいのかが見えてくるので、経営戦略の組み立てがしやすくなります。
雇用形態に関わらず、全ての従業員を人材ポートフォリオに組み入れることで、無期雇用社員と有期雇用社員のバランスを可視化することが、できるようになります。
すると、従業員の流入や流出があった場合にも適切な補填を行い、スムーズな対応を取れるようになります。
従業員のキャリアアップが図れる
人材ポートフォリオでは、従業員ひとりひとりの得意分野や苦手分野を知ることができます。
仕事における最終目標や目標に向かっていくための、道筋を示すことができるようになるので、従業員のキャリアアップが図れるようになります。
働き方が多様化している現代の日本において、従業員の得意不得意や志向を把握することは、個人個人の将来を見越した人事や業務の提案をすることに繋がります。
人材ポートフォリオの作り方
人材ポートフォリオの作り方は以下のようになっています。
- 作成の目的を分析する
- 必要な人材のタイプを分析する
- 従業員をそれぞれのタイプに振り分ける
- 従業員のタイプの偏りをチェックする
- 課題の解決手段を考える
作成の目的を分析する
まずは、人材ポートフォリオを作成する目的を分析します。
中長期的な経営戦略を踏まえて、人材ポートフォリオの軸や必要な人材の人数などを、整理しましょう。
必要な人材のタイプを分析する
必要な人材のタイプを分析する際には、X軸(横軸)とY軸(縦軸)の2軸を使う手段がオススメです。
例えば、X軸には「個人」と「組織」Y軸には「ゼネラリスト(総合職)」と「スペシャリスト(専門職)」などといった基準を設定します。
他にも「創造」と「運用」や「通常業務」と「繁忙期業務」などといった基準が考えられます。
人材ポートフォリオ作成の目的に合わせて基準を設定しましょう。
従業員をそれぞれのタイプに振り分ける
X軸とY軸で、区切られた4つの領域に、従業員を振り分けます。
この時、客観視できるデータを元に振り分けるようにしましょう。
従業員が、自分に振り分けられたタイプに納得できるように、科学的な根拠のある適性検査を行うことをおすすめします。
従業員のタイプの偏りをチェックする
目標と比べて、どのタイプにどれだけの過不足があるかチェックします。
現在の状況だけでなく、将来的に過不足が起きるであろうタイプについても分析しておくことが大切になります。
この分析によって、将来に向けて採用や育成を効率的に強化できるようになります。
課題の解決手段を考える
従業員のタイプの過不足を解消するために必要になる、解決手段を考えましょう。
解決方法としては、採用、退出・解雇、育成、異動・転勤などが、考えられます。
人材ポートフォリオ作成時の注意点
人材ポートフォリオを作成するときに注意する点は以下のようになっています。
- 作成には時間や予算がかかる
- 全従業員を対象とする
- 人材のタイプで優劣をつけない
- 従業員の希望も考慮する
作成には時間や予算がかかる
人材ポートフォリオ作成には、時間や予算がかかることを理解しておく必要があります。
目標やタイプの分析には、経営層や人事担当の間で入念な話し合いをしなければなりません。
加えて、従業員の適性検査にもコストがかかります。
理想の達成のために、人事制度を見直す必要が、出てくることもあるでしょう。
人材ポートフォリオは、人事や教育に活かすことで、初めて意味を為すので、長期的なスパンでの運用が必要となります。
全従業員を対象とする
人材ポートフォリオで、従業員のタイプを分析する際には、正社員だけでなく、派遣社員やパート、アルバイトなど、全従業員を対象とするようにしましょう。
正社員だけを対象とすると、正確な人材資源の把握ができなくなります。
人材のタイプで優劣をつけない
人材ポートフォリオで分類したタイプは、従業員に優劣をつけるものではありません。
適材適所を図り、従業員のモチベーションを向上させるためのものなので、客観的に従業員を、分類できるようにしましょう。
従業員の希望も考慮する
人材ポートフォリオは、企業側の都合だけで従業員を分類するのではなく、従業員の希望も考慮に入れる必要があります。
企業側の都合だけで人材配置をしても、本人の希望に反していれば、モチベーションの低下や離職に繋がるからです。
人材ポートフォリオを作成する際には、従業員へのヒアリングの時間も取るようにしましょう。
まとめ
人材ポートフォリオとは、企業に必要な人材のタイプを分析し、適材適所を徹底して企業の業務効率を向上させるために用いるツールです。
人材ポートフォリオを作成して活用することで、最適な人材配置ができるほか、従業員のモチベーション向上やキャリアアップを図ることができます。
人材ポートフォリオを作成する際には、長期的な経営目標を踏まえつつ客観的な視点から従業員のタイプを振り分けるようにしましょう。
人事や教育に活用してこその人材ポートフォリオです。
人材ポートフォリオを活用して、企業や従業員の効率的な成長と強化を図っていきましょう。