タレントマネジメントとは?一般の採用、管理方法との違いを併せて解説!

会社という組織において、個々の従業員は与えられた役割をこなし、その会社の成長を助けます。

それぞれの従業員の特性を踏まえて、どのような業務を行うか、どのような部門に配置するかといった人材管理は、現代でも広く行われている人事業務のひとつです。

多くの従業員を抱える会社にとっては、個々の従業員の適性や特性を踏まえた人材配置というものは、手間が多くなかなか実現できないというケースもあります。

しかしながら、それぞれの従業員の適性や経験を踏まえた人材配置をすることは、その従業員自身だけではなく、会社にとっても大きなメリットがある場合もあります。

このような人材配置の方法を「タレントマネジメントシステム」と呼びます。

この記事では、タレントマネジメントとはどのようなものか、そして、タレントマネジメントの導入によるメリットなども合わせて解説します。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、従業員一人一人の適性や経験を踏まえた、人材配置方法の事を指します。

タレントマネジメントという概念は、2000年代後半から欧米を中心に提唱され、支持を集めてきました。

タレントマネジメントというシステムが、個々の従業員の適性や経験を活かして人材配置を行うものである、ということは先の解説にもありますが、このような人材配置を特に「タレントマネジメント」という呼び方をすることには理由があります。

タレントマネジメントという概念が提唱される以前から、従業員の適性や経験を活かすべきであるという考え方が会社側に存在しなかったわけではありません。

採用面接などの場面で、応募者の職歴や学歴、どのような仕事にやりがいを感じるかといったことをヒアリングしておき、社内で検討した結果、どの部署に配属するのかといったことを決定するという人材配置は、珍しいものではありません。

しかしながら、タレントマネジメントではこれに加えて、従業員のスキルや経験値、経験の種類などを「データ化する」ということに意味があります。

社員の経験や、それによって期待される能力、そして適性をデータ化し、それによって配属部署を決定するという方法を用います。

つまり、面接や面談を行う社員・担当者の思い込みや恣意的な評価ではなく、従業員個々の能力・適性をある程度定量的に評価することが、タレントマネジメントの前提であるのです。

タレントマネジメントと一般の人材採用・管理との違い

企業として人材を採用する際には、様々な目的があって採用行動を行います。

その中で、もっとも一般的な採用行動の目的は、「欠員補充」や「人材不足」というものでしょう。

企業にとっては、必要な数の人員が配置できれば、採用行動の目的は、達成できるわけですので、「最低限これだけの能力を持っている応募者」という意味でのフィルターはかけていたとしても、それ以上の従業員個々の特性や能力、経験は「付加的価値」でしかありません。

巷で言われるような「会社の歯車」という言い方は、図らずも的を射た表現であるというわけです。

歯車となるべき従業員には、特性といったものは期待されず、適切に他の歯車と噛み合って大きな目的のために稼働してくれれば良いのです。

タレントマネジメントは、その対極に位置する管理手法です。

タレントマネジメントは、採用の場面に限ったものではなく、人材管理・配置の手段として、様々な場面で活用することができます。

配置転換や部署異動、昇進などにも関わる総合的な人材管理の手段として、タレントマネジメントは活用出来るものです。

タレントマネジメントという概念が登場した背景には、「とにかく従業員を大量に採用して、適切な場所に振り分ければよい」というような「大量採用・一括採用」の世の中から、少子高齢化によって多くの企業が慢性的な人材不足となったことが影響しています。

それだけでなく、技術革新や世の中の変化・市場の変化のスピードが早くなり、それによって業務において求められる人材が、多様化しているという背景もあります。

このような世の中で、会社が営業を続けていくためには、企業側の「欠員」という事情だけではなく、従業員個々の特性を把握して、マネジメントし、成長させていくという中長期的な人材管理の必要性が生じます。

タレントマネジメントを行うメリット

個々の従業員の特性や経験、能力に応じた人材管理を行うタレントマネジメントを取り入れるメリットには、どのようなものがあるでしょうか。

大前提として、従業員個々の性質に着目する人材管理手法であることから、「適材適所」の実現が可能となります。

具体的には、「前職で営業を経験していたから自社でも営業部に配属する」という管理手法ではなく、「前職で営業を経験していたが、本人の適性を検討した結果、マーケティング部門のほうが合致している」というような考え方になります。

また、適性の面では、実際に経験してはいないものの、本人に管理職としての適性や姿勢が見られる場合には、それを見越して管理職業務の経験を積ませるといった「中長期的視野での人材育成」も可能になります。

「この従業員にはこのような適性があるからこの部署に配置する」「この従業員は管理職の資質があるので早い段階で管理職の能力を身に着けさせる」という人材育成プランを社内で作成することができるのです。

さらに、従業員個々の性質や資質をしっかりと把握する人材管理手法であるタレントマネジメントは、社員の帰属意識や忠誠心という意味での「エンゲージメント」を高める効果もあります。

自分のことを、しっかりと会社側が考えてくれる、把握してくれている、という安心感につながり、またエンゲージメントが高まることによって、結果的に会社における該当社員の生産性向上や成果の拡大といった効果も望めます。

自社でタレントマネジメントを導入するには

従業員の採用や管理にタレントマネジメントを取り入れるには、人材にしっかりと向き合うことが重要です。

従業員個々との面談や普段の様子を把握し、新規採用の社員であればしっかりと面接時の内容や履歴書の内容についての掘り下げが、必要となります。

先に触れたとおり、この従業員の適性の把握は、恣意的なもの、思い込みに基づくものではいけません。

本人の意向やこれまでの経験、過去の仕事において、どのような成果や結果を出してきたかなど、表面に現れない部分への評価も必要となるでしょう。

そして、このような従業員の評価や把握した適性を、人事部門だけでなく実際に配属となる部署同士での情報共有が必要となります。

転属・配置転換などの場合には、異動元と異動先での情報共有が必要となりますし、人事部門に加えて、経営陣側でも個々の従業員のことを把握することで、より円滑なタレントマネジメントが可能になります。

現代では、システムによって個々の従業員のタレント(才能・能力)を、一元管理できる人事評価システムなどもあるため、このようなツールの導入を検討するのも良い手段です。

まとめ

現代では、多様な人材が、多様な働き方で日々会社の業務を行っています。

かつてのように、「とにかくたくさん採用して、人を入れ替えて使っていけば良い」というような考え方では、会社の人事管理はうまくいきません。

従業員個々の性質は、それを適切に成長させることで、会社にとっても本人にとってもよい結果をもたらすことが期待できます。

従業員個々を、評価するという手法は、確かに手間のかかるものですが、その手間をかけるだけの充分なメリットのある人事施策となることは間違いありません。

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