ESGとは
「ESG」とは、環境(Environment)社会(Social)企業統治(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。
ESGに取り組むことによって、企業が長期的に環境や社会に貢献し成長させていくことを目的にしています。
最初にESGを提唱したのは2006年で、当時の国連事務総長コフィー・アナン氏の「国連責任投資(PRI)」です。
具体的には以下の内容とされています。
環境(Environment):「地球温暖化対策をしているか」
社会(Social):「人権への対応」「男女平等」
企業統治(Governance):「透明性」「法令遵守」
ESGとSDGs違いを解説
「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の略で日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。
2001年に発表されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継とされ、世界中の環境問題・差別・貧困・人権問題を2030年までに解決しようと考えられた目標計画です。
一方でESGはステークホルダー(顧客・取引先・株主・従業員・地域)向けで、企業の長期的な成長を目的としています。
SDGsとESGの関係性は企業が日々の事業活動でESGを意識して取り組んでいくと結果的にSDGsの大きな目標達成になると考えられています。
SDGsについて知りたい人はこちら
ESG投資とは
ESG投資とはESG(環境・社会・企業統治)に配慮した企業を厳選し投資していく手法です。
ESG評価が高い企業は将来的に成長が期待され、社会的意義も高いと評価されたことです。
世界最大規模のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も2017年にESG投資を開始しました。
今後は3兆円までに拡大すると発表しています。
つまり、ESGを取り入れた企業が社会的に生き残れます。183
ESG投資の種類を解説
ネガティブ・スクリーニング投資型
環境破壊に繋がるとされている産業(たばこ・ポルノ・ギャンブル・アルコール・化石燃料)を除外する投資型です。
CO2を大量に排出していると定義されており、歴史的に最も古い投資方法で米国のキリスト教系財団から始まったとされています。
理由としては環境破壊、倫理的でないとされ欧州でも拡大傾向です。
ポジティブ・スクリーニング投資型
1990年代に開始されESG評価が高い企業に投資する投資型です。
ESG評価が高いと将来的に成長が期待され、ダイバーシティ(雇用の機会均等、多様な働き方を指す)にも取り組んだ企業を選んで投資します。
国際規範スクリーニング投資型
2000年代に開始されESG分野における国際規定を基に、基準をクリアしていない企業を投資対象から除外する投資方法です。
国際連合が提唱している「国連グローバル・コンパクト」や国際労働機関(ILO)の定める規範に沿って投資します。
どの規範を基に投資するかは投資家機関が判断しますが、総合的に低いスコアの企業は排除されます。
ESGインテグレーション投資型
財務情報とESGに関する非財務情報を加味して判断し投資する手法です。
投資家がこれまで判断材料にしていた財務情報と、ESG評価を組み合わせた投資方法で、ネガティブ・スクリーニングに次いで大きな運用額となっております。
サステナビリティ・テーマ投資型
サステナビリティ(企業が利益を上げ、将来的にも顧客に製品を供給し続けられる可能性を持っていること)を重視している企業や再生可能エネルギー、農業などに投資する手法です。
SDGsに深く関係しており、日本では古くからESG投資手法として知られています。
インパクト投資型
ESGへの取り組みで社会に大きな好影響をもたらした企業に投資する手法です。
比較手に小規模企業やベンチャー企業が多くコミュニティー投資も含まれています。
インパクト投資は、経済的な利益と環境への貢献度の両方を重視する投資型です。
エンゲージメント投資型
上記六つは投資先に関する投資型でしたが、エンゲージメント型は株主が企業にESGに取り組むことを促すことを目的にした手法です。
株主が株主総会で議決権を行使したり、経営陣と対話などしESGに取り組むようにできます。
ESGの問題点
短期的に効果が見えず長期的になる
ESGは長期的な目標なので短期的には効果を感じにくいのが難点です。
長期的にはメリットを得られますがSDGsと似ているので地道に取り組むことしかできません。
即効性がないので、効果の判断が難しいです。
評価基準(指標)が多数あり比較が難しい
ESGの評価基準は複数あり、決算書や財務情報から判断できず調査会社の算出した指数で考えられます。
なので、共通点や違いがなく指数が乱立しており見いだしにくいのが現状です。
大企業が主に取り組んでいる
資金力のある大企業は直ぐにでも取り組めますが中小企業は直ぐには取り組めません。
よって、ESGがどこまで取り組めるかが今後の課題となるでしょう。
ESG経営メリット
投資評価の向上
ESGは投資の分野でSPI(社会責任投資)やCSR(企業の社会責任)を追求する指数とともに用いられます。
ESGの達成度合いや、地域環境に配慮した製品、多様な働き方を取り入れた企業は投資判断としても高く評価され、資金調達にも有効に働くと考えられています。
結果的にも安定的にも企業の成長や優秀な人材確保にも繋がります。
<h3>経営リスクの軽減
ESGを取り入れたら様々なリスクを軽減できます。
近年では環境は大きく変わり、想定外の影響を受けやすい時代です。
テクノロジーの変化、災害、金融危機、社会問題、環境問題など利益だけを最優先し社会責任を果たさない経営状態そのものが大きなリスクです。
ESGに取り組むことが想定外からの対応力を強め、企業の存続に繋がります。
ESG経営を導入する3手順
手順1:環境や省エネの取り組み
サステナビリティの考え方に取り組むことも重要です。
再生資源の利用を検討する.漁業関連企業なら過度な乱立をやめ規制を作る。
ペーパーレスなどの環境負荷を減らす動きを取り入れましょう。
手順2:ダイバーシティの取り組み
現在はテレワークなどの多様な働き方が浸透してきました。
育児・子育て支援の充実や国籍・人種・考え方の多様化を取り入れることや、たびたび問題となるパワハラ・セクハラなどの対応なども重要です。
手順3:管理体制の取り組み
社内の不正を未然に防ぎ、法律・社会規範に反さない管理体制を徹底することも取り組むことの一つです。
汚職や不正を律し、透明化することで社会評価も高まります。
ESG導入をした企業例
コニカミノルタ
複合機メーカーとして知られているコニカミノルタはESGを取り入れました。
具体的に環境問題(CO2を80%削減、)に加え、ダイバーシティ・ヒューマンキャピタル・ソーシャルイノベーション・責任あるサプライチェーン・顧客満足向上に注力しました。
そこで、開発されたのがインクジェットデジタル印刷機の「アキュリオジェットKM-1」です。
顧客のニーズに合わせて生産数を決めることができ、廃棄物の最小化と環境負荷の軽減に成功しました。
花王株式会社
花王はユニバーサルガイドライン(多くの人が等しく情報を認識できるデザイン)を2030年まで100%にする目標を掲げた「ユニバーサルプロダクトデザイン」を実施すると発表しました。
また、2021年にプラスティック循環社会にむけ「アタックZERO」「キュキュット Clear泡スプレー」のボトルで使われるプラスチックを全て再生プラスチックに変更しました。
まとめ
ESGは企業、自治体、政府などが積極的に取り組むべき重要な課題です。
今後ますます、環境保全や社会問題、企業のあり方が問われる中で長期的に生き残れる企業は間違いなく社会全体に好影響を与えた企業です。
ESG投資による資金調達や一般消費者からの信頼を得るためにもESGを取り入れることが重要です。