最近、良く耳にするSDGsという言葉ですが、まだまだ積極的に行動に移せていない方も多いのではないでしょうか?
「SDGsってそもそもお金にならないから…」
「地球環境や社会問題といった問題は公共団体や大きな企業がやれば良いでしょ…。」
という意見が出るのも当然で、SDGsの取り組みは世界的な規模で掲げられている遠大な取り組み目標であるため、一個人や零細企業が取り組むにはハードルが高いです。
しかし実際のところ、ペーパーレス化や電気使用量削減、女性の管理職登用など、身近なところで取り入れている事例はたくさんあります。
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SDGsは世界的な取り組み目標のため敷居が高く参入障壁となりがちですが、考え方を変えるだけですぐに取り組むことは可能なのです。
そして、SDGsに取り組む上で役立つ思考法が「デザイン思考」と言われています。
そこで今回はデザイン思考でSDGsに取り組む際の「考え方」について紹介していきます。
SDGsを復習しよう!
今となってはSDGsという言葉も、知っている人の方が多いのではないでしょうか?
簡単に復習をするとSDGsとは、環境問題や差別、貧困などの社会問題に向き合って、より良い世界を実現するための国際的な取り組み目標のことをいいます。
つまり、どの分野のビジネスにおいても切っては切り離せない「世界の共通言語」であるといえます。
とはいえ、そこまで難しく捉える必要はなく、リサイクルやゴミ拾いなど身近なところからすぐに始められます。
では、どのようにSDGsに取り組めば良いのでしょう?
まずはデザイン思考の概要から説明していきます。
そもそもデザイン思考とは?
デザイン思考とは、デザイン会社のデザイン制作の現場だけで使われているものではなく、GoogleやAppleなどグローバル企業の中では一般的に使われている経営を行う上で必要な思考プロセスの一つです。
ちなみに英語では「Design Thinking」と表記されています。
デザイン思考の主な特徴は以下の通りです。
【1】ユーザーの共感軸に重きを置いている。
【2】固執した価値観や固定概念、前例に縛られない。
【3】本質的な課題の解釈とアイデア創出が可能。
昔は新しい製品やサービスが開発されれば、すぐに売れる時代でした。しかし、モノが溢れる現代においては欲しいモノがあればすぐに手に入ります。その結果、「新しい」「安い」という理由だけで購入するユーザーは減りました。
つまりモノが溢れる現代の消費者は、経済成長期と呼ばれた昭和の時代の消費者像とはまるで違うのです。
では現代の消費者が求めているモノとは何なのでしょうか?
諸説ありますが、便利で多様性が認められている現代において消費者は「心の充実」を求めていると言われています。
つまり現代の消費者は目新しいモノでなく、自分の感情や感性に合ったモノを選ぶ傾向にあり、数ある商品の中から自分のニーズを満たしてくれるモノを選ぶ傾向にあるのです。
そして、現代の消費者の価値観や価値基準を受け止めて、ビジネスをデザインしていく考え方が「デザイン思考」とよばれています。
つまり、一方的に製品やサービスを提供するのでなく、消費者視点に立った受け止め方や視点を「デザイン」していくことが現代において求められているといえます。
そして、このデザイン思考の思考プロセスはSDGsの取り組みにも応用できます。
デザイン思考で考えるSDGs
それではデザイン思考でSDGsを考えていきましょう。
例えば、皆さんは「ゴミの分別」を日常的に行なっていると思いますが、その理由を聞くと「そういうルールだから」と答える人がほとんどだと思います。
もちろんその通りなのですが、ここで考えて欲しいのは「ゴミの分別がなぜ必要なのか?」です。
例えば、あなたがビニール袋をゴミ箱に捨てずに川に流したとします。
捨てたビニール袋は川から海へと流れ、海亀がクラゲと間違えて食べてしまいます。
※その他にも海には人の生活ゴミが沢山捨てられていることが社会問題となっています。
そして、亡くなった海亀の死骸を調べると、胃の中からは消化しきれなかった人の生活ゴミが沢山出てくるといった報道もあるくらいです。
つまり、SDGsに取り組む際の考え方として、「自分のポイ捨てが海の生命を奪っているかもしれない…。」という「発想」が大切なのです。
ただ単に「ルールだからやっている」という考え方も良いのですが、それだと新しいアイデアは生まれません。
「海亀が人間の生活ゴミを食べてしまう。」というニュースに対して、そもそもの原因は何なのか?これ以上、海の汚染が広がるとどうなってしまうのか?解決するために何ができるのか?という自分の思考をデザイン(整理・設計)することが大切で、その先に新たな解決アイデアが生まれるのです。
「SDGs×デザイン思考」の取り組み事例|フードロス削減のアイディア創出
それでは、SDGsをデザイン思考で取り組んだ事例をご紹介させて頂きます。
SDGsの目標のひとつに「つくる責任、つかう責任」という取り組み目標があります。
概要は以下の通りです。
「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」
この目標に鑑み、2021年7月9日にフードロス削減に取り組む「社会貢献型ショッピングサイトKURADASHI」が専修大学の学生向けにワークショップを開催しました。
KURADASHI
こちらのワークショップでは、飲食店や家庭内で発生するフードロス問題の解決意欲を促す考え方として「デザイン思考」を活用しました。
ワークショップは大きく分けて4つのパートで構成されており、「デザインとは何か?」を学ぶデザイン思考の捉え方や、フードロスの問題を考えるグループワークも開催されました。
デザインとは何か?
こちらのワークショップでは、デザインとは「見た目などの造形だけを指すのではなく、調査や発想を含む全体の設計」として捉えることが重要であると定義づけています。
また、機能価値だけではなく体験価値が重視されるようになったことで、モノ/サービスが簡単に売れない時代が訪れています。そうした時代で問題解決や価値創出を行うためにデザインの力が必要であり、その重要性がさらに高まることについて説明しました。
ワークショップ|ビジネスとデザイン視点でSDGsに挑む。フードロス削減アイデア創出ワークショップを専修大学で開催
※一部抜粋
また、日本のフードロス量についても取り上げ、日本全体のフードロス量は600万トン、日本国民一人分に換算すると1日約132g、年間48kgであるというデータを発表しました。
特に現代の日本は食べ物に恵まれている反面、フードロスの問題は避けられません。
例えばコンビニを見ても毎日大量のお弁当やおにぎりが廃棄されています。
フードロスが酷いと言っても、「1日たった132gでしょ」「だってみんなも同じことをやっている」と思う人もいるかもしれませんが、このような自分本位の考え方は望ましくありません。
SDGsに取り組むためには、目の前の問題を軽視しただ漠然と眺めるのでなく、原因となる問題を把握した上で課題解決までのプロセスをデザインし、自分なりの解決アイデアを導き出すことが重要なのです。
そもそも「だってみんなも同じことをやっている」という考え方では問題は解決しません。
まずは身近な問題からで良いので、デザイン思考を取り入れることで、SDGsに取り組むためのスタートラインに立てるのだと思います。
そして、自責でなく他責の考えを持つコトでSDGsに貢献することができるのではないでしょうか。
まとめ|デザイン思考でSDGsに取り組んでいきましょう!
SDGsへの貢献活動は身近なところからすぐに始められるモノばかりです。
例えば、不要な衣類やゲーム機をそのまま捨てるのでなく児童養護施設などの子供施設へ支援したり、フードロスを減少させるために炊き出しを行ったりなど、廃棄物やフードロスを減少させる行動をデザインすることで「持続可能な消費と生産」に結びつけることができます。
特に現代はモノが溢れ、生活様式も日々変化しています。
「生活ゴミは海に捨てられ、食べ物は大量に廃棄される。」
このような状態で地球環境が良くなるわけがないですよね。
つまり、そんな時代背景に合わせたサービスやブランドをデザインし問題を解決していく姿勢こそが、今の企業やビジネスパーソンに求められているモノなのかもしれませんね。
そして、本記事が自社が取り組むべきSDGsの活動を考えるきっかけとなれば幸いです。