SDGsと聞くと、取り組むべき課題として、地球温暖化の問題や人権問題などが浮かびやすいと思いますが、
「なんとなく環境とかにいいことをしようというのはわかるけど、いまいち理解していない。」
「カラフルなロゴに目標があるのは知ってるけど、すべてを把握していない。」
といった方も多いのではないでしょうか。
企業経営者の方でもSDGsを網羅的に把握できている方は少ないかもしれません。
この記事ではSDGsを理解するための基礎概念「5つのP」について解説いたします。
すべて読み終えたころには具体的なSDGsへの行動スイッチが入るはずです。
ぜひSDGsを理解して経営に活かしていく事で目標達成へ貢献しましょう。
SDGsの概要と成り立ち
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に、2030年までに達成すべき国際目標として掲げられました。
SDGsの前にMDGs(ミレニアム開発目標)という目標がありました。MDGsは2015年までの目標で、2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで「国連ミレニアム宣言」が採択され、その中でまとめられた目標です。
MDGsによって多くの開発途上国において沢山の成功を導き、世界中の人々の生活が改善され、2030年までの目標となるSDGsへの基盤ともなりました。
しかしながらMDGsによる開発が進む中で様々な格差も生じてしまい、「取り残された人々」がいたことが課題として浮き彫りとなりました。
そこでSDGsでは「取り残された人々」を救うべく、「誰一人取り残さない」という概念のもと構成されております。
MDGsは途上国の開発を重点としており、先進国が開発面を援助していく構図でしたが、SDGsでは途上国も先進国も一丸になって目標達成に取り組む構図としました。
持続可能な目標として、開発面に加え、経済、社会、環境のすべての課題に対応した目標設定としています。
そして全人類が取り組まなければならない目標となっており、各企業や各個人で達成を目指していかなければ、目標達成に到達できません。
達成「すべき」目標であることを認識して、次からの5つのPを理解していきしょう。
5つのPについて解説
SDGsの5つのPとは、 持続可能な開発目標として掲げられた17の目標を5つに分類したものです。 5つのキーワードの頭文字が P であることから、「5つの P」 となっております。
5つのPの内容や特徴をそれぞれ解説致します。
①People 人間
以下の目標1から5が該当します。
目標1 貧困をなくそう
目標2 飢餓をゼロに
目標3 すべての人に健康と福祉を
目標4 質の高い教育をみんなに
目標5 ジェンダー平等を実現しよう
目標6 安全な水とトイレを世界中に
すべての人々のあらゆる貧困を解決し、健康な環境で平等な世界を目指す
開発国だけではなく世界中の全ての人々の貧困と飢餓を終わらせることは豊かな社会を形成していくための命題です。
食料不足や栄養不足は開発国だけではなく、先進国でも生じている問題です。 貧困と飢餓をなくしていくと同時に、健康的な生活と福祉を提供しなければなりません。
同時に健康的な生活のためにも、世界中に安全な水と衛生的なトイレの供給が必要となります。
また誰もがもつ潜在能力を発揮できるように、世界のどこに住んでいても質の高い教育を受けられる世界をつくっていかなければなりません。
そして日本でもジェンダー格差の問題は根強い課題としてありますが、男女格差がない平等な社会の実現が求められています。
②Prosperity 繁栄
以下の目標7から11が該当します。
目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標8 働きがいも経済成長も
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標10 人や国の不平等をなくそう
目標11 住み続けられるまちづくりを
すべての人々が豊かな生活を送りながら、技術的な進歩が自然と調和した状態を目指す
どこに住んでいても安全で安心できる生活を送ることは、豊かな社会を形成するうえで欠かせません。
そのために技術の進歩が必要となりますが、自然と調和していない技術の進歩によって、地球温暖化などの環境破壊が大きな問題となっています。
持続可能な社会を目指すうえで環境への配慮が重要です。よってSDGsでは人間の豊かさを目標とする一方で、自然環境と調和したクリーンな社会を目指します。
また経済成長に過酷な労働があってはなりません。働きがいのある雇用を促進する社会を形成していくためには各企業の努力が必要です。
単なる利益面だけの繁栄(Prosperity)ではなく、SDGsにもとづいた経営、雇用促進が各企業に求められています。
③Planet 地球
以下の目標12から15が該当します。
目標12 つくる責任つかう責任
目標13 気候変動に具体的な対策を
目標14 海の豊かさを守ろう
目標15 陸の豊かさも守ろう
将来の世代に地球の資源を引き継ぐために、気候変動に対して緊急の行動を取る
急激な経済成長と引き換えに地球の多くの資源が犠牲となってきました。現役世代のわたしたちだけが良い思いをすればいいという考えは捨てて、将来の世代へ地球の豊かな資源を引き継いでいかなければなりません。
特に地球温暖化という気候変動は緊急処置が必要ということで、定期的な気候サミットもひらかれ、各国が削減目標の達成を求められています。
また失っていく森林や海洋資源、絶滅の危機にある動物や植物、砂漠化といった多くの損失を阻止しなければなりません。国単位だけではなく、すべての企業、すべての人々が関心をもつことが大切です。
④Peace 平和
平和は以下の16個目の目標に該当します。
目標16 平和と公正をすべての人に
平和なくして持続可能な開発はありえず、持続可能な開発なくして平和はあり得ない
日本に住んでいると戦争や紛争は身近な出来事ではないと感じてしまいますが、世界では多くの戦争や紛争が起きています。SDGsではすべての国、人々が目標達成に取り組むことが求められています。
世界中の戦争や紛争、暴力、迫害などがなくなるために自分たちにできることを考えて、少しでも行動しましょう。
日本は紛争がなく平和に感じますが、はたしてそうでしょうか。
昨今問題となっているインターネット上のいじめや誹謗中傷の問題も立派な暴力問題といえます。
真の意味での平和を目指すためには多くの課題が身の回りに存在しているはずです。
まずは自分の身の回りが本当に平和で公正であるか、みなおしましょう。
⑤Partnership パートナーシップ
いよいよ最後の目標です。
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
すべての人々が連帯の精神によって、持続可能な開発目標のための課題解決にあたる
持続可能な開発目標を解決するためには、国と国の間での連携だけではなく、企業間、地域間、そして個人間での全ての連携が必要となります。
たとえば貧困への課題解決のために、ある国へ食糧を届けるとします。食糧を届けるためには国単位での連携はもちろんのこと、届けるために働く企業ないし働く人々の連携が欠かせません。
どの問題を解決するにも一つの国、一つの企業、そして一人では解決できません。SDGs実現のために協力の輪を広げていきましょう。
さいごに
この記事ではSDGsの5つのPについて解説しました。
実は具体的な目標がさらに169個ありますが、いきなりすべてを網羅することは難しいです。
まずは5つのPをもとに17の目標を理解し、企業であれば経営に、個人としても日々の行動に移していく事でSDGsに貢献していきましょう。