コロナの影響で、リモートワークが進む中、WEB会議や、ZOOM、Webexなど、オンラインツールを使う機会が増え、同時にWEBデザインなど、WEB関連の言葉を聞くことが増えたのではないでしょうか?
その中で、何やら英語が頭文字だけれど、WEBデザインとは違う「DTPデザイン」と言う言葉を聞いて、疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな方に向けて、「DTPデザイン」の定義から、WEBデザインの違い、自社で採用する導入するにはどうすればいいのか?といったことまで徹底解説していくので、是非見ていってください!
DTPデザインとは?
DTPとは「Desktop Publishing(デスクトップパプリッシング)」の略で、日本語で言うところの「机上出版」や「卓上出版」に該当します。
具体的な役割としては、パソコン上で印刷物の元となるデータを作成すること主で、印刷後の出来上がりを意識してデザインすることが必要となります。
このDTPが現れる前までの、アナログ製のものが流通していた頃は、下記作業が分担され、それぞれの専門家がその役割を担っていました。
・デザイナーが印刷物のデザインを行う作業
・デザインに合わせて原稿や写真を使って「版下」という製版用に原稿を作る作業
・印刷会社が「版」を起こして紙に印刷する作業
日本では、1990年代前半からDTPが使われるようになったことで上記の作業を1人のデザイナーが担える部分が多くなり手軽に行えるようになったことで、業務の流れが変化しました!
WEBデザインとは?
WEBデザインというのは、スマートフォン、タブレット、パソコン、などで表示されるホームページやランディングページのレイアウトや構成、細部のデザインを行い、デザインの良さや使いやすさ見やすさを追求し、WEB上に表示されるように制作することを指します。
また、これらのランディングページやホームページをデザインする際には、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの各デバイスに対応したデザインを制作する必要があり、さらに、CSSやHTMLなどのプログラミング言語を用いてWEB上にコーディングを行う(プログラムのコードを書く作業)ため、プログラミングの知識も重要になります。
DTPデザインとWEBデザインの違い
制作する上での注目すべきポイントの違い
DTPデザインとWEBデザインでは、完成した時のフォーマットが異なります。
DTPデザインの成果物はチラシやパンフレットなど、紙媒体が主になっていて、
WEBデザインの成果物は、LP(ランディングページ)やウェブページなどWEB上に表示するものが主になります。
そのため両者を制作する際に注目すべきポイントが異なります。
DTPデザインはチラシやパンフレットなどの紙媒体として世に出回るので、印刷された時の仕上がりが重要になります。
一方で、WEBサイトは、PVやCVなどの数値目標をいかに達成するかをしっかり設計する必要があります。
WEBサイトの場合、PC版、モバイル版、場合によってはタブレット版まで想定してデザインする必要があるので、WEBデザインの方がDTPデザインよりも、対応すべき業務が多い場合があります。
デザイン構成の違い
デザインを構成する際にも、WEBデザインとDTPデザインには違いがあります。
WEBデザインでは、LP(ランディングページ)など、縦に長いページが多いので、見る人がどのような視線の動きをするのかを踏まえ、ページ・印刷物内で強弱をつけて、見やすいデザインにする必要があります。
単位と色の表現幅の違い
WEBデザインとDTPデザインでは、色の表現方法も異なります。
WEBデザイン→R(red:赤)G(green:緑)B(blue:青)
DTPデザイン→C(cyan:青系)M(magenta:赤系)Y(yellow:黄系)K(keyplate:黒系)
上記のように述べていますが、大事なことは「WEBデザインの場合はDTPデザインよりも色の表現幅が大きくなっている」と言うことなので、ここだけ押さえておけばOKです!
DTPデザインの場合、WEBデザインよりも表現幅は小さくなってしまいますが、印刷される紙質によって、色の発色なども異なってしまうので、「色」に気を使うのは、実はDTPデザインの方が多い部分もあります。
フォントの違い
WEBデザインで使用されているフォントは、Mαcで「ヒラギノ角ゴ」と登録されているように端末にもともとあるフォントから選んで使用することが多いです。
しかし、DTPデザインの場合には、似たフォントであっても使い分けるということもあるのでフォントにこだわるデザイナーが多いと言われています。
解像度の違い
解像度という点でもWEBデザインとDTPデザインでは違いがあります。
それぞれで必要となる解像度は以下のようになっています。
WEBデザイン→72ppi
DTPデザイン→300~400ppi
上記からわかるように、印刷に使う画像の解像度はWEBで使用する場合と比較して、4.5倍もの高解像度が必要になります。
DTPデザインでは、WEB以上の高品質な画像が必要になります。
レイアウトの違い
DTPデザインでは、成果物が紙媒体など、実物になるので、載せられる情報・文字数には限界があります。そのため、どの情報が適切であるかを取捨選択し、見やすくわかりやすいレイアウトを構成する必要があります。
一方でWEBデザインの場合は、良くも悪くも載せれる情報に限界はほとんどありません。
WEBデザインではデザインする際に、iphoneやタブレット、PCなどデバイスの違いを踏まえそれぞれに適したレイアウトにする必要があります。
加えて、WEBデザインの場合、サイトをスクロールしていくことが前提となるので、画像や文字を適切に横・縦方向に配置し、一つのページ内での導線や他ページに映る際の視線誘導なども考慮して構築する必要があります。
動的要素の有無
動的要素というのは、例えば、WEBサイト上であるボタンをクリックすることで、画像が動くなど、動的な部分を指しています。
紙媒体であるDTPデザインでは、平面の表現方法であるため、動きの表現はできませんが、近年の技術革新で、紙媒体にQRコードを組み込み、それを読み込むことによってデバイスを通して目の前にあたかも存在しているかのような仮想現実を見せることができるなどの可能性を見せています。
DTPデザインとWEBデザインの共通点
DTPデザインとWEBデザインのどちらにも共通する点があります。
それはどちらも「デザインをする」ということです。
何を当たり前のことを、と思われる方もいらっしゃると思いますが、ここが非常に重要なことなんです!
そもそも、WEBデザイナーやDTPデザイナーを雇おう!なろう!と考えているのはなぜでしょうか?
おそらく多くの方が、「WEBデザイナーやDTPデザインができる人がいない」「誰かの考えていることをデザインに落とし込みたい」と考えているからでしょう。
このように「依頼したい側」と「依頼される側」が存在するという点でWEBデザイン・DTPデザインは共通しています。
この共通点があるからこそ、どちらにも共通した業務が発生します。
例えば以下のようなものが挙げられます。
・依頼主の希望のヒアリング
・目的・ターゲットの設定
・コンセプトの設定
上記で例としてあげた業務のほとんどが、依頼主と依頼された側のコミュニケーションを必要とするものです。
「デザインをする」という作業には、算数の計算のように正解がありません。
つまり、誰に聞いても答えが同じになるようなものは存在しないのです。
そのため、依頼主と依頼された側のコミュニケーションが不可欠です。
コミュニケーションを怠ってしまうと、依頼主の考えるデザインと依頼された側の考えるデザインにミスマッチが起こり、互いに損失を被る可能性が大きくなります。
DTPデザイナーの仕事内容
グラフィックを作り込むグラフィックデザイナーとは異なり、DTPデザイナーの仕事は、DTPソフトを用いてレイアウトをデザインするのが主な業務内容になります。
また、企業によっては、画像の修正・加工に特化して業務を行うDTPオペレーターがいる場合もありますが、DTPデザイナーその作業も兼任しているケースもあります。
広告の効果にも影響を及ぼすDTPデザイナーの仕事を次のような流れで進んでいきます。
①デザイン打ち合わせ
顧客がDTPデザインを用いた業務によって、どうなりたいのか、どんな効果を求めているかなど、顧客の目的の部分からヒアリング・打ち合わせを行います。
それを踏まえた上で、どのようにデザインしていくかなどの方向性を決め、デザイン案をまとめます。
また、必要に応じて、どのような色合いにするか、ラフデザインなどを参考にしながら方向性をすり合わせていきます。
そのデザイン案を持って、どのような経緯でそのデザインになったのかなど、経緯や目的も併せてクライアントにプレゼンします。
②デザイン制作
打ち合わせで決めた内容をもとに、デザインに載せるべき情報を選びながら、画像・文字(フォントなども含め)を調整し、デザインやレイアウトを構成していきます。
また、文章で説明するよりも、図やグラフを使った方がわかりやすい場合には、図やグラフを利用して、そのデザインを見る人が視覚的にもわかりやすいようなデザインにしていきます。
③デザイン試し刷り
DTPデザインが完成させ、データを印刷会社に送ります。
その後、デザインの仮となる「試し刷り」を行います。
いわば、デザインのテストのようなものになります。
ここで、デザインの色合いであったり、文字の大きさ・フォント、版ズレ、写真違いがないかなどの確認を行います。
間違えがあった場合には、その部分を再度修正し、再度「試し刷り」を行い、完璧になるまで繰り返していきます。
④印刷
この「試し刷り」の作業が完了したらいよいよ本番です。
印刷会社に印刷をお願いし、裁断・加工を経て。制作物として納品します。
DTPデザイナーを雇う上で必要なソフト 4選!
Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)
ページ数の少ない印刷物の制作に多く使われおり、主に使われる制作物としてポスターやフライヤー、名刺などがあります。
また、地図やロゴ、イラストなどの制作にも適しており、幅広いデザインが可能です。
Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)
画像編集として、写真などの加工や合成、色調整を行う際に頻繁に使われています。
他にも、イラストを制作するときに使うパスやブラシも使用できるので、やり方次第でイラストなども作成も可能です。
Adobe InDesign(アドビ インデザイン)
ページ数の多いもののレイアウトに向いており、制作物としては書籍や雑誌が挙げられる。
また、利点としてページをまたいだテキストを流すことが可能で、さらに索引や目次、表組みなどの機能もあります。
QuarkXPress(クォーク エクスプレス)
InDesignが登場する前まで、圧倒的な人気を得ていました。
現在でも根強いファンがいるのは、その操作性の高さ安定感が評価されているからと言われています。
DTPデザイナーを採用するべきで確認しておくべき3つのこと
ここまで読んだ上で、DTPデザインでわかった。うちにも取り入れたい!
そう考える方もいるのではないでしょうか?
しかし、なんの知識なしに採用してしまうと、自社でやって欲しい仕事と、DTPデザイナーのできることのミスマッチが起こるなど様々なリスクが伴います。
それを防ぐためにも、ここでは、DTPデザイナーを採用する上で確認しておくべきことを3つ紹介しますので採用する前に是非目を通してみてください!
①コミュニケーション能力
これが最も重要であると言ってもいいほど重要なコミュニケーション能力。
繰り返しになりますが、DTPデザインとは、その作業の特性上、算数の計算のように決まった答えがなく「イメージと違って当たり前。」の世界です。
そうは言っても、依頼主は自分たちがイメージするデザインを制作する必要があるわけです。
そのため、できるだけ依頼主のイメージとDTPデザイナーのイメージとの乖離を防ぐためにも円滑なコミュニケーションが必要になります。
必ずしも、単価が高く、世間からの評価が優れたデザイナーの方がいいとは限りません。
それよりも、自分たちの要望・ビジョンに併せて、自分たちが欲しいデザインを提供してくれるデザイナーを採用するようにしましょう。
②色の知識
これはコミュニケーション能力につながる部分ではありますが、デザインするときに「赤色」と言っても、その「赤色」の中でも、暗い赤色なのか、明るい赤色なのかなど、色の種類は様々です。
そう言った色調の部分から、それぞれの色がどのような効果・人々に感情にもたらすかなどの色の知識も必要です。
そして、DTPデザインは、最終的には印刷会社に依頼して、印刷してもらうことになりますから、印刷した後と前で、色のイメージがズレていないかなどのすり合わせができるかなども重要な基準になってきます。
この観点を採用する前に判断するのは困難ですが、採用前に、そのDTPデザイナーが今までどのようなデザインをしてきたのかなどがわかる制作物があればそれを提出していだだき、参考にしてみるのをお勧めします。
③人間性
この観点は非常にざっくりした観点になってしまうのですが、これも重要な観点になります。
いくらデザイン性の高いデザインができたとしても職人気質であったり、ヒアリングを怠ってしまうようなデザイナーであればそれは良いデザイナーとは言えないでしょう。
また、DTPデザインは、WEBデザインと異なり、最終的に制作物として印刷することから、それに併せた微調整が必ずと言って良いほど多く発生します。
その際に、適当になってしまうようなデザイナーではなく、根気強く一緒に作業してくれるデザイナーの方がより良い制作物を完成させることができるでしょう。
DTPデザイナーを採用する際には、スキルや制作物だけではなく、そう言った人間性の部分もしっかり把握するようにしましょう。