CI(コーポレートアイデンティティ)とは?デザインから考える。

「CI(コーポレートアイデンティティ)」という言葉を自社の企業のロゴを制作するときなどで一度は聞いたことがあるのでは無いでしょうか?

アルファベットの略称を見ると「また、横文字か、、聞いたことはあるんだけど」だとか、「どうせ覚えられない、、、」、「なんか難しそう、、」と思ってしまいがちですよね。

本記事は、そんな方に向けて、定義からそのCI(コーポレートアイデンティティ)が実際にどのような場面で重要になってくるかという事例も含めて1から説明していきます!

「どうせ、これを読んでも忘れちゃうよ、、」と言った方も、またわからなくなった時に、すぐに見返せるように目次もつけているので、「ここだけ確認したい。。」という方にも使いやすい記事になっています!

ぜひ目を通してみてください!

CIとは?

CIというのは、繰り返しになりますが、「コーポレートアイデンティティ」の略です。

しかし、英語表記のものをカタカナに直したところで、余計にわからなくなりますよね笑

これをGoogle翻訳でそのまま訳してもらうと、「企業素性」になります。

企業の素性? 分かるような、分からないような微妙な翻訳ですよね笑笑

CI(コーポレートアイデンティティ)というのは、すごく簡単に言うと、

「企業の特徴を誰もが分かるような形で伝えること」です。

CI(コーポレートアイデンティティ)というと企業のロゴ制作などが思い浮かべられますが、ロゴ制作では「企業の特徴を知ってもらう、ロゴを見た時に企業が連想される」などが目的とされ、まさにこのCI(コーポレートアイデンティティ)の取り組みの一つと言えます。

しかし、CI(コーポレートアイデンティティ)は何もロゴ制作に止まるものではなく、CI(コーポレートアイデンティティ)は「企業の特徴を誰もが分かるような形で伝えること」なので、様々な場面で重要となってくる取り組みでもあります。

そのため、CIというとすごく大きな枠組みとなってしまうので、一般的に次の三つに分けて考えられます。

・MI(マインド・アイデンティティ)

・VI(ビジュアル・アイデンティティ)

・BI(ビヘイビア・アイデンティティ)

また、横文字が増えた、、、と思われるかもしれませんが、全て分かりやすく説明していくので安心してください!

一つ一つ見ていきましょう!

MI(マインド・アイデンティティ)とは?

MIは、マインド・アイデンティティの略称で、組織や企業が社会に向けてどのような価値を提供して行きたいのかというのを表現する活動です。

私たちの身近な企業である自動車メーカーのHondaでは、コンセプトとして「すべての人に、『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」を掲げており、このようにMI(マインド・アイデンティティ)は、企業のコンセプトやビジョンとして表現されることが多くあります。

MI(マインド・アイデンティティ)は、人々に覚えてもらうためにロゴ制作などの視覚的に訴求するというよりも、

企業の価値観やコンセプトなどの企業の考え方の部分をわかりやすくキャッチコピーなどで表すことで共有するところが特徴的と言えます。

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは?

VIは、ビジュアル・アイデンティティの略称で、企業のロゴやイメージカラーなど、視覚的に人々に企業のイメージを浸透させるあらゆるデザインの設計を行う活動です。

例えば、Appleのロゴを見ることによって、「デザインのシンプルさ」であったり、「スマートさ」、「デザインが洗練されている」というイメージが連想されるなど、Appleという会社の名前が分からなくても、ロゴを見ることによって、その企業はどんな企業であるのか人々に連想させることができます。

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、MI(マインド・アイデンティティ)と異なり、文章やキャッチコピーなどの文字を扱うというよりも、企業のロゴなど視覚的にイメージを共有することが特徴的と言えるでしょう。

また、視覚的にイメージを共有することから、人々に馴染みやすいとも言えるでしょう。

というのも、Appleのロゴは浮かんでも、キャッチコピーは浮かばない、トヨタの自動車についているマークは浮かぶけれど、企業理念はわからないというように、視覚的なものの方が覚えやすいという一面があるからです。

覚えられやすいというメリットがある反面、一度ついてしまったイメージを変えることは難しく、文章などの的確なメッセージがあるわけでも無いので、企業の伝えたいイメージと異なるイメージで人々に共有されてしまうというリスクも孕んでいるので、慎重に活動を進める必要があります。

BI(ビヘイビア・アイデンティティ)とは?

BIは、ビヘイビア・アイデンティティの略称で、企業や組織が人々に伝えたいイメージがあった時に、どのような態度・行動を人々に見せることで、企業のイメージを連想させるのかというのを考える活動です。

なかなか、言葉でも難しいでよね笑

具体例を交えて、一緒に考えてみましょう!

皆さん、スターバックスのコンセプトはご存知ですか?

スターバックスのコンセプトは

「『第3の場所』を提供すること」です。

『第3の場所』という言葉に疑問をもたれると思いますが、その前にまず、「第3」と言われるくらいですから、スターバックスでは、第1の場所、第2の場所についてどのように定義されているのかを説明します。

スターバックスは、第1・第2の場所について以下のように定義しています。

第1の場所→家庭。素敵な配偶者として振る舞わなければいけない場所

第2の場所→職場。競争の圧力が強い場所

このように考えた時に、スターバックスは、「第3の場所」を第1・第2の場所での疲れを癒す場所として定義して、その「第3の場所」を提供することをコンセプトとしています。

この「『第3の場所』を提供すること」というコンセプトを人々に伝えるために、実際にスターバックスで働く人はどのような態度・行動を取る必要があるのか、を考えるのが、まさしくBI(ビヘイビア・アイデンティティ)にあたります。

スターバックスで言えば、丁寧な接客や、お客様の望むドリンクの提案、綺麗な店内の維持などがBI(ビヘイビア・アイデンティティ)に当たるでしょう。

このBI(ビヘイビア・アイデンティティ)を行うことで、人々が「心地いい」、「落ち着く」、「気分転換できる」と感じていただくことができれば、それはスターバックスが定義する「第3の場所」を提供することにつながるでしょう。

BI(ビヘイビア・アイデンティティ)というのは、組織や企業に属する人の行動や態度について考える活動になるので、ロゴ制作のような施策実行時に金銭的コストがかかるわけでは無いので、どの企業でも比較的容易に取り組める活動と言えます。

一方で、BI(ビヘイビア・アイデンティティ)というのは、ロゴ制作やキャッチコピーの作成のような目に見える施策では無いので、浸透させる教育コストはそれなりのものを要します。

また、活動の成果についても、「BI(ビヘイビア・アイデンティティ)に取り組んだことで売り上げが〇〇%上がったなど、客観的データが求められるものでも無いので、施策については試行錯誤する必要があるでしょう。

しかし、一度、BI(ビヘイビア・アイデンティティ)を浸透させるための仕組み作りが完成すれば、人々に企業の伝えたいイメージを浸透させることができ、目に見えない大きな集客につなげることができるのでしょう。

CI(コーポレートアイデンティティ)について改善しようと施策検討する時に、ただ漠然と「企業の象徴的なものが欲しいから、ロゴ制作をしよう!」「お客様への対応の質を均一化するためにセミナーなどの教育コストを増加させよう!」といきなり施策を決定するのではなく、そもそも自社で今悩んでいるのはどの部分で困っているのか?を確認する必要があります。

「自社のイメージが浸透していない」「店舗へのリピート客が少ない」「コンセプトがはっきりしていない」等、悩みは企業それぞれで、それぞれの問題を解決する方法も企業によって異なります。

そもそもの悩みが曖昧なものになってしまうと、何から着手するべきか判断ができず、本当はロゴ制作を行えばいいだけなのに、他の施策にも手を出して、費用が莫大になってしまうなど思わぬ失敗に陥るリスクが高まります。

このようなリスクを避けるためにも、自社での問題を明確化して、適切な施策を適切な価格で行うようにしましょう。

CI(コーポレートアイデンティティ)は必要なのか?

ここまでで、CI(コーポレーとアイデンティティ)はMI(マインド・アイデンティティ)、VI(ビジュアル・アイデンティティ)、BI(ビヘイビア・アイデンティティ)の三つに分かれるのはわかったけれど、

「そもそもCI(コーポレート・アイデンティティ)って必要なのか?」

と考えられる方も多いのではないでしょうか?

結論から言うと、

絶対に「必要」です。

その理由は、次の3つです。

・他の企業との差別化を図り、人々に認知してもらうため。

・企業内の一致団結をもたらすため。

・企業の機能面の良さを形にするため

次に、この3つの理由について、一つずつ説明して行きます。

他の企業との差別化を図り、人々に認知してもらうため。

企業が作るサービスにおいて、全く同じものというのは存在しませんが、

「似ている」サービスを見つけることは困難なことではありません。

例えば、マクドナルドとモスバーガー。

どちらもメニューに差はあるものの、通りすがりの人に、マクドナルドとモスバーガーは何を売っている場所?と質問をすると、多くの人は、「ハンバーガー」を売っている場所と答えるのでは無いでしょうか?

このように、それぞれの企業のコンセプトや理念に違いがあったとしても、商品やサービスが似通ってしまう、競合が存在しているということは世の中のどのサービスで起こっています。

その際に競合と商品・サービスの価格で勝負するのも一つの手法です。

例えば、原材料を内製化することで、コストを低く抑えるなどして、より商品の値段を抑えることもできるでしょう。

しかし、それでは、人材も材料も十分に揃っている大企業に中小企業が打ち勝つことはできません。

では、日本に存在している企業は全て大企業なのでしょうか?

それもまた違います。むしろ逆です。

日本の9割以上の企業が中小企業です。

人材も材料も大企業に劣る中小企業が、存在し続けられるのは、どの企業もどこかで商品・サービスの「差別化」をしているからです。

逆に「差別化」できていない企業は、価格競争に呑まれ、生き残るのは困難でしょう。

その「差別化」の対策として、CI(コーポレート・アイデンティティ)は有効な手段です。

というのも、繰り返しになりますが、CI(コーポレート・アイデンティティ)の目的というのは、「企業の特徴を誰もが分かるような形で伝えること」です。

企業の特徴を伝える時に、どこかの企業も同じようなことを言っていたとなってしまうと、伝えることはできても、記憶に残らず目的を達成したとは言えないしょう。

CI(コーポレート・アイデンティティ)というのは、そもそも企業に競合他社と比べてどんな違いがあるのだろうかというところまで考え、コンセプトに落とし込んだ上で、人々に発信して行きます。

つまり、CI(コーポレート・アイデンティティ)の活動を進めること自体が、競合他社との差別化に繋がり、さらに、差別化して洗練されたコンセプトを人々に認知してもらうことができるのです。

企業内の一致団結をもたらすため。

二つ目の理由としては、CI(コーポレートアイデンティティ)をしっかり行うことで、企業内の一致団結を測れるためです。

一致団結と言ってしまうと、みんなで一緒に熱く、一生懸命に!というような熱血のイメージではなく、

社員一人一人が

「一つの目標に向かって行動する」

という意味です。

企業が大きくなっていく中で、サービスの質の均一化を図るために、どうしても仕事が作業的になってしまったり、下流の仕事になればなるほど上流の経営者が考えている意図が伝わらなくなることがあります。

その企業の下支えになっている従業員が、仕事に対して、やりがい(=何のために仕事をしているのか)がなくなってしまうと離職率が高まり、企業の運営が困難になっていくでしょう。

このような企業の経営方針であったり、その根本にある企業のコンセプトを共有できないことによって生じる問題に対する対策としても、CI(コーポレート・アイデンティティ)は有効な手段になります。

CI(コーポレート・アイデンティティ)に関する活動の際に、必ず「誰に向けての発信なのか」は検討されます。消費者なのか、投資家なのか、それぞれに合わせて最適化されたメッセージを発信していきます。

このCI(コーポレート・アイデンティティ)には、企業で働く従業員も対象として含まれています。

企業の経営層は従業員に対して、何を目指していて、その根底にどんな理念があるのかを共有することで、従業員にやりがいを感じさせたり、より自発的な行動を促すこともできます。

また、従業員同士で一つの企業の理念が共有されることで、同じ志を持って仕事をすることができ一体感をもたらし、従業員同士の一体感は徐々に大きくなり、ゆくゆくは企業全体の一体感につながるでしょう。

企業の機能面の良さを形にするため

企業がどんなに素晴らしいサービス・商品を作っても、それを広めることができなければ、売り上げを大きくすることはできないでしょう。

昔は、職人気質の方で、

「俺らは、すっげぇもんを作ってる。だから、広告とか、WEBとかどうでもいい。いいもんだけを作ってればそれでいい」

という方も多くいたでしょう。

しかし、現在はどうでしょう?

技術の進歩が進み、あらゆるサービスが自動化、作業の単純化が進んでいます。

そして世の中には情報が溢れ、人々、企業のサービスの内容の比較検討も簡単にできるようになってきました。

消費者がサービス・商品の比較検討が簡単にできるようになったということは、その分、今まで自身が使っていたサービスの質についてより吟味するようになり、似たようなサービスで消費者が費用対効果が悪いと判断した場合に、サービスの変更を行うというのは日常茶飯事の出来事になりました。

そんな中で、「どのように商品を広めるということ」ができなければ、商品・サービスを継続的に販売していくということは困難なものになってきました。

この「どのように商品を広めるのか」という問題に対してもCI(コーポレートアイデンティティ)は有効な手段になりえます。

このCI(コーポレートアイデンティティ)で、最も影響を与えるのは、

企業間の「評判」です。

みなさんが商品が使う時には、どのような基準でそのサービスを利用しているでしょうか?

〇〇さんが使ってるから、〇〇さんにお勧めされたから。

こう言った自分の身近な人の「評判」を理由に商品・サービスを利用している方も多いのでは無いでしょうか?

これは企業の間でも起こりうる現象です。

例えば、他社から自社への商品の注文を受けた時に

「〇〇社の〇〇さんが言っていたから、相談に来ました」

ということを言われたことがある方も多いのでは無いでしょうか?

これも企業の「評判」が産んだ注文と言えるでしょう

中々目に見えないもので判断が難しいですが、

このように「評判」というのも企業の商品を広める上で重要な要素になります。

この「評判」をよくするためにもCI(コーポレートアイデンティティ)が有効な手段になるのです。

というのも、例えば、企業の商品・サービスの良さ・イメージを企業のロゴに表すことができれば、それを用いて企業のことを紹介しやすくし、また、紹介に限らず、「人々に知ってもらう」という点でも、ロゴというキャッチーな絵に落とし込むことで人々にしっかりイメージを浸透することも可能です。

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